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「福島に明るいニュースを」 東京パラでメダル目指し鍛錬 原発事故で避難も経験、陸上の佐々木選手

2020.4.4 10:30 共同通信
パラ陸上世界選手権の女子400メートル(視覚障害T13)決勝で4位に入った佐々木真菜選手。東京パラリンピック代表に内定した=2019年11月、ドバイ(共同)
パラ陸上世界選手権の女子400メートル(視覚障害T13)決勝で4位に入った佐々木真菜選手。東京パラリンピック代表に内定した=2019年11月、ドバイ(共同)

 

 東京パラリンピックの視覚障害陸上の女子代表に内定した佐々木真菜選手(22)は福島市出身だ。中学1年生で東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に遭い避難を経験、学校のグラウンドで走れない日々も過ごした。「福島に明るいニュースを届けたい」と、地元の企業で働きながらメダルを目指している。(共同通信=西村曜)

 小学生の頃から外で走るのが大好きで、休み時間には一人で校庭を駆けていた。震災で福島市の自宅に目立った被害は無かったが、原発事故を受け家族と新潟市へ避難。刻々と原発の状況が悪化した時は「福島はどうなっちゃうんだろう」と恐ろしかった。

 状況が落ち着き約1週間で自宅に戻ったが、放射線の影響でグラウンドは使用禁止になり、外で走れなくなった。中2から陸上を始めたが、練習は体育館の隅にあったランニングマシンを使う日々。「同じ景色を見て走るのは楽しくなかった」と振り返る。

 生まれつき目に入る光の量が調節できない「無虹彩(むこうさい)症」。日常生活に大きな支障はないというが、目の前は曇りガラスを通したようにぼやけて見え、トラックのコーナーは体の感覚が頼りだ。障害者スポーツの大会に出場するようになり、高校1年の2013年には国際大会に初めて出場。同じ頃、東京パラリンピックの招致も決まり、出場を徐々に意識するようになった。

 16年の高校卒業後は、地元福島市の東邦銀行に就職。パラ出場に向け、午前中は銀行員として働き午後を練習に充ててきた。19年11月の世界選手権の400メートルで4位に入り、代表内定を勝ち取ったが「メダルに届かなかったことが悔しい」と現状に満足はしていない。

 東京大会本番に向け、「震災で今も苦労している人に、結果を出す姿を見てもらいたい」と願う。前を走る3人をいかに追い抜くか。毎日、自らの課題と向き合っている。

インタビューに答える佐々木真菜選手
インタビューに答える佐々木真菜選手

 

 視覚障害者の陸上競技 障害の程度で4クラスに分かれ、国際大会では重い方から3クラスの競技を実施。東京パラリンピックでは100メートルや400メートル、走り幅跳びなどの種目がある。重いクラスでは伴走者や「コーラー」と呼ばれる補助者を付けられる。