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“ぽっぽや”メダル挑む セーリングの外薗選手 輝け TOKYO2020

2020.3.23 7:30 共同通信
セーリングW杯男子470級に出場した外薗(左)、岡田組=2019年8月、江の島ヨットハーバー沖
セーリングW杯男子470級に出場した外薗(左)、岡田組=2019年8月、江の島ヨットハーバー沖

 

 JR九州の社員として働きながら東京五輪セーリング男子470級に出場する外薗潤平選手(29)。「今の自分があるのは、上司や同僚のおかげ」。感謝の気持ちを胸にトレーニングに励む。

 鹿児島県日置市出身。幼い頃、海に連れて行ってくれた父の影響で釣りが大好きに。小学生の頃に相撲の県代表になったものの伸び悩み、中学時代に打ち込んだ陸上でもなかなか成果が出なかった。

 鹿児島商業高に入学後、「本気でやっていないだろう。釣りもできるかも」とヨット部に入部したが、甘い考えは通じなかった。「真面目に競技に打ち込み、上下関係も厳しかった。釣りなんて…」。それでも練習を続けるうちに、自分の力だけでなく、ヨットの整備や風を読まないと勝負にならないセーリングに夢中になった。

セーリングW杯男子470級に出場した外薗(左)、岡田組=2019年8月、江の島ヨットハーバー沖
セーリングW杯男子470級に出場した外薗(左)、岡田組=2019年8月、江の島ヨットハーバー沖

 

 大学卒業後、JR九州に入社したのは、同社所属で、リオデジャネイロ五輪の男子470級の代表となった今村公彦選手(36)の勧めがあったから。「競技に専念させてもらうには、成果を出さないと認められない」。駅員を経て車掌に。主に長崎、佐賀両県内をカバーする長崎支社では、列車内で誰よりも切符を販売し、社内表彰された。

 「このお客さまはどこまで行くのか」「運転士や指令は何を考えているのか」。鉄道員として培われた洞察力と判断力は、2人一組となってヨットを操るセーリングにも相乗効果をもたらしているという。

 九州北部では昨年8月28日未明に記録的な大雨を観測、佐賀県内は4人が死亡するなど甚大な被害を受けた。五輪出場が懸かったレースは同31日に開催。乗務中に見慣れた光景が一変した惨状が頭から離れず、レース中も「地域の人たちは無事か。線路は大丈夫か」と気が気じゃなかった。

 代表を決め、本社で開かれた記者会見では「大変な時に、大会や練習を優先させてくれた」と仲間への感謝を口にした。五輪の舞台は、大会や練習で慣れ親しんだ江の島(神奈川)。「最低でもメダル」。体を目いっぱい使ってセール(帆)を操る“ぽっぽや”が強い気持ちで本番に臨む。(共同通信=宮本寛)

記者会見でポーズをとるセーリング男子の外薗潤平選手=2019年9月、福岡市のJR九州本社
記者会見でポーズをとるセーリング男子の外薗潤平選手=2019年9月、福岡市のJR九州本社

 

 セーリング 1人乗りと2人乗りの競技があり、艇の形や帆の大きさによって種目が異なる。470級は艇長4・7メートルのヨットを2人で操る。全チームが一斉にスタートし、海面上のブイが設置されたコースを決められた順番に周回して順位を競う。風の強さや向き、潮の流れといった変化する自然環境を読む力やコース取りが勝敗を分ける。