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「皮膚に貼る注射」開発 東北大、高速で注入可能

2021.3.30 0:00
 皮膚に貼るだけで、薬剤を高速で注入できる「マイクロニードルポンプ」を東北大大学院工学研究科の西澤松彦教授(バイオデバイス)らのグループが開発し、英科学誌に発表した。
「貼る注射」の原型。バイオ発電セル(黒い部分)とマイクロニードル(白い丸)を組み合わせた(東北大提供)
「貼る注射」の原型。バイオ発電セル(黒い部分)とマイクロニードル(白い丸)を組み合わせた(東北大提供)

 これまでにも、微小な針に薬剤を塗ったり内包させたりして皮膚に貼り、薬剤を浸透させる技術はあったが、取り込まれる薬剤の量や速度には限界があった。新開発の技術はこれを高速化するのに役立つほか、特別な電源を必要とせず、使い捨て可能な有機物だけでできているのが特長。

 研究グループは「薬やワクチンを患者自身が適切なタイミングで投与する『セルフケア』(各自で行う健康管理)に結び付く技術。コロナ禍で注目されているリモート医療にも貢献が見込まれる」としている。
 新しく開発した技術は、固体と液体の境界面に電圧をかけると、たくさんの穴が開いた「多孔質」の構造中で液体が移動する「電気浸透流」という物理現象を利用する。
 注入装置は、既に同じグループで開発していた、酵素によって皮膚表面で微小な電流を発生させる「バイオ発電」のセル(薄膜)と、薬剤を注入する多孔質のマイクロニードルを組み合わせた。
 豚の皮膚を使った実験では、バイオ発電セルによって微弱な電気を流すと、電気浸透流の働きでマイクロニードルを通った物質が効率よく生体組織に送り込まれることが確かめられたという。
 同じ方法の実験で、逆方向に皮下組織中の体液を抽出することにも成功。組織中の体液は血液成分の変化に対応しているため、体の状態を調べるための検体を採血なしで得る方法としても期待できるとしている。

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