猫のコロナ感染で抗体 ワクチン開発に応用も
チームは猫7匹と犬3匹を使って実験。ウイルスを含む液を鼻に入れて感染させ、鼻や喉の粘液などに出てくるウイルスの量を調べた。すると猫は感染の翌日からウイルスが検出されるようになり、3日後をピークに5日後までウイルス排出が続いた。発熱や呼吸器の症状はなく無症状のままだった。犬も無症状だが、鼻や喉からはウイルスが検出されなかった。
猫同士の“濃厚接触”で感染が起きることも確認。感染していない猫を感染した猫と同じ部屋に入れると、翌日には鼻や喉にウイルスが出るようになった。一度感染した猫は4週間後に再びウイルスにさらしても再感染が起きなかった。調べると感染を防ぐための抗体が体内で働いていた。
猫の感染サイクルは人より短いのが特徴。人の病気研究のために動物を犠牲にすることには批判もあるが、アカゲザルやハムスター、フェレットなどと並んで猫が有用な実験動物になるとチームはみている。
気になるのがペットから人に感染するかどうかだ。犬は感染しても鼻や喉からウイルスを出さないためリスクは低そう。猫の場合も人への感染例は今のところ確認されておらず、チームは「ペットが大きな感染源になる心配はなさそうだ」とみている。ただ猫を飼っている人が感染した際には注意が必要。「外に放すと他の動物に感染を広げる恐れがある」とチームは指摘する。