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液体のり成分で効果向上 がん放射線治療に新手法

2020.3.10 0:00
 がん細胞にホウ素を取り込ませ、中性子線を当てて破壊する「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」で、投与するホウ素薬剤に液体のりの主成分を加えると、治療効果が大幅に向上することを東京工業大の研究チームが発見した。マウスの実験では、皮下に植えたがんがほぼ消えたという。
 BNCTはがん細胞に集まりやすいホウ素の性質を利用。ホウ素化合物を含む薬液を患者に点滴して中性子線を照射すると、がん細胞に取り込まれたホウ素原子が核反応を起こしてアルファ線とリチウム原子核が発生、がん細胞を破壊する。
 
 
 アルファ線とリチウム原子核は細胞一つ分程度のごく短い距離しか飛ばないため、周囲の正常細胞へのダメージが少なく、次世代の治療法として期待されている。国内の複数施設で臨床試験(治験)が進んでいる。
 ただ、ホウ素化合物はがんに集まる一方で、長く細胞内にとどまれないという課題があった。そこでチームはスライムを作る理科実験を応用。ホウ素化合物に液体のりの成分であるポリビニールアルコール(PVA)という樹脂を加え、化学反応で分子を大きくした。
 すると、がん細胞に取り込まれるホウ素化合物の量は約3倍に増え、細胞内にとどまる時間も長くなった。マウスを使った実験では強力な抗腫瘍効果を示し、皮下のがんがほぼ根治した。
 PVAは液体のりのほか、洗濯のりや、さまざまな医薬品の添加物としても使われている。
 野本貴大東京工業大助教は「PVAを水中で混ぜるだけで簡単に製造できる。治療効果も優れており、実用性は極めて高い。安全性を精査しながら人の臨床応用につなげたい」と話している。

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