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男性がん患者にも注目を 外見、生活に配慮求める

2019.5.4 0:00

 前立腺がんや精巣腫瘍など男性特有のがん、女性の病気と思われている乳がんの男性患者らが初めて一堂に会した「男性がん総合フォーラムMo―FESTA(モーフェスタ)」が昨年11月、東京都内で開かれ、患者や家族、医療関係者ら約170人が参加した。

 男性も女性同様に手術や治療による見た目の変化だけでなく恋愛・結婚、生殖機能の維持などに悩みを抱えていることを語り合った。最後に患者団体が連携して医療者や社会の理解を求めていくことで一致した。

 ▽増える前立腺がん

 フォーラムは前立腺がん患者会のNPO法人「腺友(せんゆう)倶楽部」(武内務理事長)が企画、主催し、関係学会、日本対がん協会などが後援した。

 
 

 国立がん研究センターによると、前立腺がんは男性のがんの新規患者数では胃、肺、大腸に次いで4番目に多い。高齢化に伴って患者が増え、2018年は推定7万8千人余りと、女性の乳がんに迫る勢いだ。一方、精巣腫瘍は10万人に1人程度、男性乳がんは女性の1%程度といずれもまれな病気。認知度も低い。

 ▽治療、検査の進歩

 会合ではまず、前立腺がんの専門医4人がこの病気の疫学と最新の診断、治療方法について解説した。

 医師らによると、前立腺がんの診断では、磁気共鳴画像装置(MRI)でがんが疑われる箇所だけから組織を採取する検査法が開発され、患者の負担が軽減された。また、腹腔鏡やロボットによる手術、より高い放射線量をがんだけに当てる放射線治療などが開発されたことがスライドや動画で詳しく説明された。それらを抗がん剤、ホルモン剤などの薬剤と組み合わせ、より効果的な治療を探る研究が日々、進んでいるという。

 質疑応答では、どんな治療が適切か、どうしたら決められるかとの質問があり、医師らは、泌尿器科以外の医師にも意見を求めることをアドバイスした。

 精巣がんに詳しい専門医の講演では、このがんには抗がん剤がよく効き、転移があっても80%は治癒する半面、働き盛りの発症が多いため治療が仕事の支障となること、手術をすると射精神経を傷める恐れがあることなどを解説した。

男性がん総合フォーラムで語り合った患者たち
男性がん総合フォーラムで語り合った患者たち

 

    ▽言い出しにくさ

 フォーラム後半は「男性患者も声をあげよう」と題した患者座談会。武内さんのほか、前立腺がんの骨転移も経験したNPO法人理事の川崎陽二さん、精巣腫瘍患者友の会代表の改發厚さん、男性乳がん患者の野口晃一郎さんが登壇し、共通の悩みを語り合った。

 現状の問題点として患者が口をそろえたのは「いまだに命が助かればぜいたくは言えないという目で見られがちで、見た目や生活のことが言い出しにくい」ことだ。

 前立腺がんでは患者から治療でしばしば起こる尿失禁の相談が多いことが指摘されたほか、川崎さんは、治療で頭髪が抜けたとき、病院内でウイッグ(かつら)を紹介する催しを訪ねたが「男性は関係ない」と言われた苦い体験を明かした。

 改發さんは、抗がん剤治療の前に希望すれば精子保存できることなど性生活や子づくりについての選択肢の説明が依然、不足していることを指摘。野口さんは、日本でもようやく男性乳がん患者が集まって声を上げ始めたことを紹介。男性にもがん切除後の見た目の悩みがあるが、患者会活動の盛んな米国では「付け乳首」もあるなど患者支援に大差があることを訴えた。武内さんは「乳がんのように患者向けのガイドラインがあるといい。医師との関係を深めていきたい」と総括した。

 講演、座談会の模様は動画として編集し、腺友倶楽部のウェブサイトで公開している。

(共同通信 由藤庸二郎)

 

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