出血傾向に心当たりは?  知られていないVW病  治療で改善をと専門家

2022年01月11日
共同通信共同通信
 出血が止まりにくい症状が現れる「フォン・ヴィレブランド(VW)病」。血友病などと同じ血液凝固異常の病気だ。軽症の人が多く、気付かないままだとけがや手術、出産などの際になって初めて深刻な出血が起きるリスクがある。関連学会が診断方法や治療法についての根拠をまとめた日本初の診療ガイドラインを作成して2021年、全文をウェブサイトで公表した。専門家は、患者の受診と発見を増やし、症状に気付く機会が多い医療関係者にも周知したいとしている。
 
 

 

 ▽三つのタイプ
 VW病は、フィンランドのエリック・フォン・ヴィレブランド医師が、出血傾向のある女児の診察を機に発見し、1926年に初めて報告したことから命名された。
 広島大血友病診療センター長の藤井輝久准教授(血液学)によると、病気の原因は「フォン・ヴィレブランド因子」というタンパク質の異常だ。このタンパク質は、血管が破れると、これをふさぐ役目を持つ「血小板」を破れ目に粘着させる働きがある。
 VW病は、このタンパク質が不足しているタイプ1、量はあるが機能に異常があるタイプ2、まったく無いタイプ3の三つに大別されるという。
 厚生労働省の委託事業「血液凝固異常症全国調査」によると、日本での報告数は2001年の688例から毎年増え続け、20年には1431例。これは血友病の報告の約4分の1に当たる。
広島大血友病診療センター長の藤井輝久准教授
広島大血友病診療センター長の藤井輝久准教授

 


 ▽タイプ別
 ただ、藤井さんは「診断方法が分かってきたので増えてはいるが、実際の患者数はもっと多いはずだ」という。
 「欧米では治療を受けているVW病の患者が、血友病の患者数と同程度存在し、診断されていない人を含めると人口の1%近くいるとの報告がある。日本でも、本人が気付いていないだけで受診していない患者が多数いる可能性が高い」
 確定診断のためには、血が止まりにくいことによるさまざまな症状の確認に加え、複数回の血液検査が用いられる。
 採血によって血小板の量や血液の固まりやすさなどをチェック。血友病や血小板の異常などほかの病気ではなく、VW病が疑われるときは、さらにVW因子の量や働きを調べて確定診断につなげる。
 ただ、VW病のうちタイプ2は、因子にどのような異常があるかによってさらに四つに分類され、治療薬の選択も変わってくるため、さらに詳しい検査で鑑別が必要な場合があるという。
 ▽出産や手術に備え
 VW病が見過ごされがちなことについて、荻窪病院(東京)血液凝固科の長尾梓医師は「手術や出産などの場面で出血が止まらなくなってしまうリスクがある」と指摘する。
 診断がついていれば、個別に投薬などで治療できるだけでなく、出産や手術など出血が想定される場面では、あらかじめ備えることもできる。
 症状に気付くポイントとして長尾さんは「鼻血がなかなか止まらない」「歯茎の出血、抜歯後の出血が止まらない」「青あざができやすい」「小さな切り傷でも血が止まらない」などを挙げる。
 「女性の場合はほかに、月経が重く長引いたり、産後の出血が長く続いたりすることも、発見のきっかけになる。親きょうだいなど血族に血が止まらない傾向があるかどうかもポイントです」
 長尾さんは、過多月経でも「毎月同じ、そういうものだ」と諦めている女性が多いことを憂慮。産婦人科を受診してもこの病気だと分からないケースもあり、原因がはっきりしないときは血液内科など専門家の診察を受けるよう勧めている。(共同=由藤庸二郎)