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4人に1人が症状経験 女性のほてり、のぼせ 高齢でも、不眠と関係

2021.12.16 0:00
 閉経に伴うホルモンの変化で中高年女性に起こる体や顔のほてり、のぼせは「ホットフラッシュ」と呼ばれる。ときに大量の汗も噴き出し、日常生活や仕事への支障も大きい。国立長寿医療研究センター、東京医科歯科大、アステラス製薬の研究チームは、一般住民の疫学調査の結果から、40歳以上の女性の4人に1人が症状を経験し、その後高齢まで一定の症状が続くこと、不眠と強い関係があることを初めて明らかにした。
 
 

 

 ▽50代にピーク
 同研究センター老化疫学研究部(大塚礼部長)の富田真紀子研究員らは2010~12年、愛知県の大府市・東浦町の住民から無作為抽出した40歳以上の計約2300人が登録した大規模疫学研究の中で、女性約1150人を調査。「顔が熱くなる(ほてる)」の項目に症状「なし」「弱」「中」「強」の4択で答えてもらった回答を分析した。
 その結果、症状があった割合「有症率」は全体で4人に1人の25%。年代別では50~54歳で45%と最も高く、以下、55~59歳の32%、45~49歳の26%と続くが、閉経期を終えたとみられる60歳以降も、80代以降まで全ての年代でおおむね5人に1人、19~21%の人に症状が続くことが分かった。
 閉経時期との関係では、最終月経後2~5年が最も有症率が高く半数近い48%が症状を経験。最終月経を挟んで前後1年が42%、2~3年前が41%。3年以上前、5年以上後でも19~20%に症状が出ていた。
 ▽ホルモンの揺らぎ
ホットフラッシュの有症率を明らかにした国立長寿医療研究センター老化疫学研究部の大塚礼部長(左)、富田真紀子研究員=愛知県大府市
ホットフラッシュの有症率を明らかにした国立長寿医療研究センター老化疫学研究部の大塚礼部長(左)、富田真紀子研究員=愛知県大府市

 

 ホットフラッシュと不眠の関係も密接だった。寝付きが悪い、夜中に目覚めるという「不眠」とほてりとの関係を調べると、ほてりがあった人はそうでない人に比べ、リスクが、それぞれ2・1倍になっていた。
 この研究は、老化の過程の解明を目的に同研究センターが1997年に開始した大規模疫学調査「NILS―LSA」のデータを活用した。
 大塚部長は「この年齢ではこういうものという諦めで、症状があっても医療機関を受診しない人も多い。住民調査で女性全体でのホットフラッシュの有症率が分かった意義は大きい」と話す。
 この研究にも参加した東京医科歯科大の寺内公一教授(産科婦人科学)によると、ホットフラッシュや発汗などの症状は、深部体温の変動を血管の収縮、拡張によって調節する神経の働きの不調で「血管運動神経症状」と総称される。
 「閉経期には女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下するが、低下すること自体よりも、分泌が揺らぐ、乱高下するのが主な原因だ。心理的、社会的要因の影響も大きい」と解説する。
 ▽我慢せずに
 今回の研究では、閉経期を挟んでホットフラッシュの症状がピークを迎え、その後高齢でも症状が持続することが示された。寺内さんは「米国の研究でも、持続平均期間は閉経後4・5年だが、一部が長期化するとの報告がある。診療している実感とも近い」と話す。
 ホットフラッシュを防ぐには薄い重ね着で着衣を微調整することや、減量で皮下脂肪を減らすことなどが有効だが、寺内さんは「更年期障害は、うつ症状や不眠、めまい、頭痛、動悸(どうき)、しびれなど多様で複合的。ホットフラッシュに限らず、体調がすぐれない、つらいと感じたら、高齢であっても我慢せずに受診してほしい」と勧めた。
 よく知られているホルモン補充療法や、漢方薬そのほかの薬物治療以外にも改善のための選択肢はあり、自分の状態、症状の全体像が分かるだけでも楽になることがあるという。(共同=由藤庸二郎)

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