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親元離れて学ぶ自己管理  小児の糖尿病キャンプ  血糖測り献立も考えて  

2018.10.2 0:00

 1型糖尿病は、小児から青年期の発症が多く、小児糖尿病とも呼ばれていた。血糖値の管理とインスリン注射が欠かせず、小児でも自分で病気を理解する必要がある一方、きちんと自己管理ができれば運動にも制限は必要ない。そうしたことを親元を離れて学ぶ機会として、患者会や病院が小児糖尿病サマーキャンプを全国各地で開いている。鳥取県大山町で開かれたキャンプを取材した。

 
サマーキャンプでスタッフと海水浴を楽しむ子どもたち

 ▽遊びも勉強も

 砂浜に歓声が上がる。低血糖にならないように休憩中に糖分を補給した子どもたちは、何度も何度も波をめがけて飛び込んでいく。その姿からは病気であることはまったくうかがえない―。

 島根県糖尿病協会所属の患者会などが中心になって催すサマーキャンプは、1974年にスタートして45年目。今年も7泊8日の日程に、中国地方在住の幼稚園年長組から中学3年生まで27人が集まった。

 キャンプでは毎日、普段と同じように血糖値を測り、インスリンを注射する。薬や注射器の種類は1人ずつ違っていて、子どもたちはおのずと治療の選択肢を知る。糖尿病教室は連日開かれ、病気の基礎からインスリンの働き、正しい注射の仕方、低血糖への対処、体調が悪いときの注意点などを学ぶ。尿検査や眼底検査、歯科健診などは、糖尿病の合併症の学習を兼ねて行われる。

 ▽生涯の付き合い

 キャンプ3日目は登山。4日目はグラウンドで運動会、5日目は海水浴と、楽しいイベントも盛りだくさんだ。

 血糖がコントロールできれば問題ないのだ。自己管理に慣れた子ばかりではないが、医療の目は行き届いている。キャンプには医師59人、栄養士・調理師38人、看護師や薬剤師ら30人が参加し、体調を見守る。大学、看護学校で医療を志す学生ボランティア55人はマンツーマンで子どもの面倒を見る。

 キャンプ発足に尽力し、その後も関わり続けてきた武田倬(あきら)・元鳥取県立中央病院顧問(75)は「昔は修学旅行に行かせてもらえないことも普通だった。今は理解も広まったが、子どもが自立して自己管理しなければならない点は同じ。それを学んでほしいとの思いで続けてきた」と振り返る。

 これまでの参加者は400人近く。「参加者や親同士がその後連絡を取り合って、生涯の付き合いが生まれる貴重な場です」と武田さん。参加した子が大学生になってヘルパーとして戻ってくるのも例年のことだ。

 
  子どもたちが自分でバランスを考え選んだ夕食

 ▽食事のバランス

 「栄養指導はとても大切です」と、松江赤十字病院栄養課の管理栄養士、安原みずほさん。運動会の日の夕食に何を食べるかは、子どもたちが自分で決めた。管理栄養士の指導の下、プロも使う食品交換表を参考に栄養バランスとカロリーを確かめる。糖尿病と長く付き合うには、自分の血糖値がどんな食べ物でどう変わるかを知らなければならないからだ。

 次々に知識を詰め込まれて音を上げていないかと心配になるが、子どもたちは専門的な話にも真剣に耳を傾け、知ることに積極的だ。参加3回目の中1男子(12)は「1回目はしんどいけど楽しかった。登山などほかではできないことができた」。栄養の勉強をしたいと考え、2年目の参加は自分から申し出た。

 毎年、キャンプの全日程に参加する鳥取県立中央病院糖尿病・内分泌・代謝内科の村尾和良医師は「糖尿病の子と一日中一緒にいる経験はまずない。診療では知り得ない、普段の考え方や暮らしぶりを知る機会になっている」と、医療側にとっての意義も強調した。
 各地の小児糖尿病キャンプの開催日程は、日本糖尿病協会がウェブサイトで紹介している。

(共同通信 由藤庸二郎)

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