肝炎ウイルスなお警戒を E型がA型上回る勢い 性的感染にも注意必要

2022年04月26日
共同通信共同通信
 ウイルス性肝炎は衛生状態の改善やワクチンの開発、輸血の検査(スクリーニング)の徹底などにより減少したものの、急性、慢性の肝炎を引き起こし、依然として警戒が必要だ。日本では主に四つの型で感染、発症する。多数を占めていたA型に代わって近年、E型の届け出数が増えていることが国立感染症研究所のまとめで分かった。専門家は、特徴を理解して食品の十分な加熱など基本の予防策を徹底してほしいと呼び掛けている。
 
 

 ▽相次いだ発見

 感染研ウイルス第2部の相崎英樹第4室長、鈴木亮介第5室長によると、人に肝炎を起こす病原体ウイルスは、20世紀後半に相次いで発見された。最初に見つかったのは1965年のB型だ。
 73年にはA型が、77年にはB型肝炎患者にだけ重複感染するD型が見つかった。その後、A、B型以外のウイルスもあることが判明。探索の結果、83年にはE型が、89年にはC型が見つかった。
 B型、C型肝炎ウイルスの発見に対しては76年、2020年にノーベル医学生理学賞が贈られた。この二つの型は肝臓がんのリスクを高めることが知られている。
 ▽性的接触も
 ウイルス性肝炎はその型によって感染経路や症状が異なる。
 鈴木さんによると、A型は人が便中にウイルスを排出し、それに汚染された食品や水を介して感染するのが主な経路。貝のカキによる感染が知られるが、近年は輸入されたその他の貝での感染も報告されている。
 A型、E型は急性肝炎で黄疸(おうだん)を起こし、劇症肝炎に進展する場合も。A型は食品の衛生管理の向上やワクチン開発などで2000年以降は減ったものの、16年ごろから男性間の性的接触を介した流行が世界各地で見られ、18年には日本にも波及した。考慮すべき感染経路として注目されている。
 B型とC型は血液や体液を介し感染する。1960年代には血液製剤のウイルス混入が社会問題化したが、現在は献血血液でB、C、E型の検査が施され、ほぼ心配なくなった。
 B型ではワクチンが開発されて2016年、0歳児への定期接種が始まったのも朗報だ。ただ、性交渉による感染例が増加し、新規届け出の3分の2以上が性感染が原因と報告されている。
 C型は近年、強力な飲み薬の抗ウイルス薬が実用化し、多くの人で治癒が可能になった。

 
 

 

 ▽予防策
 多くの型の抑え込みが進む一方、届け出数が増えたのがE型肝炎だ。鈴木さんは「検査キットが11年に保険適用され、診断に使われ始めてからだ」と話す。年間の届け出数は400人以上になり、A型を上回る勢いだ。
 発見当初、汚染した食べ物や水からの経口感染が主な経路とみられたが、1997年に豚からウイルスが見つかり、イノシシや鹿なども感染する人獣共通感染症と判明した。「発展途上国では依然、経口感染が問題だが、先進国では食肉からの感染が多いと考えられる」(鈴木さん)という。
 症状はA型同様、急性肝炎か劇症肝炎。健康な人なら安静にすると自然治癒し、ほぼ慢性化しない。潜伏期間が15~50日あるため、原因食材の特定は難しいという。理由は不明だが、患者は男性が8割を占める。
 予防策は生肉を扱う環境を清潔に保ち、肉を十分に加熱すること。肉の中心温度がポイントで「70度以上で5分以上」「75度以上で1分以上」でウイルスが活性を失う。特にウイルスの検出が多いレバーなど内臓肉には注意が必要だという。
 海外の流行地域へ渡航する際はそれに加え、清潔な保証がない飲料を口にしないことや、非加熱の食品を取らないことなども推奨されている。(共同=由藤庸二郎)