がん教育、小中高の62%で 外部講師依頼などに課題
全国の自治体などを通じ、国公立、私立の計3万7千校余りから回答を得た。学校別では中学校が実施率71%と高く、高校は64%。小学校は56%にとどまった。「指導時間が確保できなかった」などの理由で3分の1以上に当たる1万4千校余りが未実施だった。

都道府県別の実施率は大きな差があり、茨城県90%、埼玉県、滋賀県の86%が高く、栃木県33%、秋田県35%などが低かった。
授業で扱った内容では、複数回答で「がんとはどのような病気か」が86%と最多。以下、がんの予防、日本のがんの現状、早期発見とがん検診、がんの経過と種類、などが続いた。
文科省は16年に「外部講師を用いたがん教育ガイドライン」を取りまとめ、外部からの講師の活用を促したが、今回調査では、外部講師を依頼したのは8%、約3千校だった。
内訳は、がん経験者が22%、薬剤師が17%、がん専門医が16%など。外部講師を招いたことの効果としては「健康と命の大切さを主体的に考えることができた」「がんに関する知識・理解が深まった」などが挙げられた。
一方で、外部講師を活用しなかった理由としては「適当な講師がいなかった」「謝金などの経費が確保できない」などがそれぞれ2割ほどあり、授業のニーズと地域にいる外部講師とのマッチングや、財政的な支援の在り方に課題がうかがえた。