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手術より抗がん剤治療 一部の転移大腸がん

2021.4.25 0:00
 肺や肝臓などに転移したがん(転移巣)が切除できない大腸がん患者のうち、腹痛や出血などの症状がみられない場合は、元のがん組織(原発巣)を手術で切除せずに抗がん剤治療を早期に始めた方が良いとする臨床試験の結果を、がん標準治療の確立を目指す日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)がまとめた。
 
 

 中心となった国立がん研究センター中央病院の金光幸秀大腸外科長は「手術で抗がん剤治療が1カ月ほど遅れる不利益は大きい。大腸がん治療ガイドライン改訂につながる結果だ」と話す。

 国内では年15万人超が大腸がんと診断され、2割弱が他の臓器に転移した「ステージ4」で見つかる。原発巣と転移巣をきれいに切除できれば長期生存が望めるが、そうした例は少数派だ。
 試験対象は広がった転移巣が切除できないステージ4の大腸がんで、腹部に症状がなく原発巣が切除可能な患者。従来は治療向上につながるか不明のまま原発巣だけを切除する例が多かった。
 研究グループは2012~19年に国内の医療機関で登録された20~74歳の165人を追跡。原発巣を切除後に抗がん剤を投与した人と、切除せずに抗がん剤だけを投与した人を比べると、その後の生存期間が約26カ月と約27カ月でほとんど変わらなかった。
 むしろ手術例では出血や臓器不全などの合併症で3人が死亡し、抗がん剤治療中の有害事象が目立った。一方、抗がん剤だけの人で腸閉塞(へいそく)などの緩和手術を受けた人は11人と少なく、治療に起因する死亡はなかった。
 これまでは切除で生存期間が延びたとの海外報告があったが、金光さんは「手術に耐えられる全身状態の良い患者にデータが偏っていた可能性がある」とみている。

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