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「色の壁」解消へ活動 全ての人に分かりやすく CUDO副理事長に聞く

2020.5.13 17:43
 生まれつき色の見え方が一般と違う「色弱」の人は、国内に約320万人いる。男性の約20人に1人、女性の約500人に1人が該当する。鉄道路線図や防災マップ、電源ランプなど、世の中には色で伝える情報があふれているが、以前は色弱者への配慮がなく、日常生活で困る場面も多かった。自身も色弱者で、全ての人に分かりやすい色使いを提唱するNPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)の副理事長を務める岡部正隆東京慈恵会医大教授に、色弱者を取り巻く現状などを聞いた。
インタビューに答える、CUDO副理事長の岡部正隆東京慈恵会医大教授
インタビューに答える、CUDO副理事長の岡部正隆東京慈恵会医大教授

 

 ▽感覚の多様性
 ―色弱とは。
 人の目の網膜には長い波長の光、中ぐらいの波長の光、短い波長の光のそれぞれに感度が高い3種類の「錐体(すいたい)」という視細胞があります。この3種類の反応の度合いによって色を識別しますが、いずれかの錐体の機能が大きく変化して、一般的な錐体を持つ人と違った色の感じ方をする人がいます。これが色弱です。
 ―色覚異常とか色覚障害と呼ぶこともある。
 病気や障害ではなく、血液型のような、遺伝的に受け継がれていく感覚の多様性の一つと考えています。CUDOでは一般的な多数派の色覚をC型、少数派の色弱をタイプによってP型色覚、D型色覚などと分類し、正常、異常という分け方はしていません。
 ―ご自身も色弱か。
 私はP型色覚。赤と緑や、濃い赤と黒が見分けにくい特徴があります。
 ▽倫理的に問題
 ―モザイク模様に隠された数字を読み取る「石原式」の色覚検査は今も行われているのか。
 かつては学校健診で毎年、1994年以降は小学4年時に実施されていましたが、2002年に必須項目から外されました。しかしその後、色弱者の採用を制限する一部職種で、就職前に色弱が判明し不利益を被るケースが出たとして、文部科学省が14年、検査を促す通知を出しました。現在は任意で希望者に対し行われています。
 ―検査に問題は。
 色覚検査は事実上、遺伝子検査と同じようなものなので、本人への十分な説明と同意が必要だと思います。しかし、10歳前後の子どもが対象では難しい。検査で色弱と分かっても治療法はなく、色弱者に不利にならない環境整備も不十分。メリットのない検査は倫理的に問題があります。
 ―進学や職業選択での制約は今もあるのか。
 私が大学を受験した1987年当時は、色弱だと入れない医学部もありました。でも今は問題ない。鉄道の運転士はいまだにだめですが、以前は不可だった消防士も市町村によっては採用しています。一部を除き制約はかなりなくなりました。
 
 

 


 ▽認識向上を
 ―CUDO設立から15年余り。どんな活動をしているのか。「色の壁」は解消されたのか。
 主に行政や企業の印刷物や製品、施設などの色使いが色弱者にも見やすいかどうか検証し、認証マークを発行します。研修への講師派遣や調査研究、相談事業も行っています。認証取得も増え、改善は着実に進んでいますが、まだ満足できるレベルではありません。
 ―勤務する慈恵医大病院も最近認証を受けた。
 大学病院では初めてです。病院という公共の施設が認証されることには大きな意義があります。
 ―今後の課題は。
 カラーユニバーサルデザインが当たり前になるには、もっと社会の認識を高めなければなりません。そのためには人材育成が不可欠です。資格制度などの方策を考える必要があります。
  ×  ×  ×
 おかべ・まさたか 1969年、東京都生まれ。2001年から色のバリアフリーを訴え、04年10月に仲間とCUDO設立。専門は解剖学。(共同=赤坂達也)

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