【5152】鷲の尾 八幡平ドラゴンアイ 酵母無添加 辛口純米(わしのお)【岩手県】


【食事処Iにて 全3回の①】
ここ数年、近所の「食事処I」で毎月1回、常連会が開かれている。最初のうちは店の酒を飲んでいたが、そのうち、参加者それぞれが日本酒を持ち寄り、利き酒会の様相を帯びてきた。これはこれで非常に楽しい。
今回飲んだ日本酒の中で、当連載でまだ取り上げたことがない酒が3種類あった。最初にいただいたのが「鷲の尾 八幡平ドラゴンアイ 酵母無添加 辛口純米」だった。参加者Kが、岩手県に旅行したとき、お土産店で購入したもの、という。いかにも観光地の日本酒というようなラベルだ。
この蔵のお酒は当連載でこれまで、2種類を取り上げている。さて、いただいてみる。
上立ち香は、ほのかに果実香を感じる。含み香はこれに、麹っぽい香りがほのかに加わる。さっぱりとした口当たり。味わいでは、酸がやや強めに出ている。この酸がなかなかいい感じで、飲み飽きしない酒質を構築している主要因。クラシックタイプのライトボディー酒。あるいは爽酒。あるいは淡麗辛口酒。
蔵のFacebookは、この酒を以下のように紹介している。
「このお酒は、弊社では初めてとなる、酵母無添加 生酛仕込みでスッキリとしたドライな口当たり、そして日本酒度プラスで辛口の酒質を目指し、弊社の代表的な純米酒『北窓三友』と同じ酒米・仕込配合で造ったお酒になります。弊社商品ラインナップの中では辛口のお酒でありながら、すっきりした呑み口と生酛の乳酸菌由来の酸味のキレを持ち、しっかりした米の旨みを味わうことができる旨口のお酒でもあります」
瓶のラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合60%、アルコール分16度、製造年月2023.2」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。
酒名および瓶のラベル写真の「八幡平ドラゴンアイ」について、蔵のFacebookは、以下のように説明している。
「岩手から秋田にまたがる国立公園八幡平の山頂付近にある鏡沼の雪解けの様子が、まるで龍の眼の様に見えることから『八幡平ドラゴンアイ』と呼ばれており、5月の中旬から6月の中旬の限られた時期に見られる神秘的な景色です」
酒名「鷲の尾」の由来について、「日本の名酒事典」は「岩手山が古くは岩鷲山と呼ばれ、大鷲が棲んでいたことから、その山麓の酒蔵という意で命名された」と説明している。