【5052】天穏 純米 にごり(てんおん)【島根県】


【TU会例会 全3回の③完】
コロナ第8波による新規感染者数が減少傾向に転じる中、異業種間交流利き酒会のTU会は、感染防止対策を万全にしたうえで例会を開いた。コロナの減少傾向を反映してか、今回はいつもより多い10人が参加した。場所はいつものB居酒屋。
「惣邑」「紫の英君」と飲み進め、次にいただいたのは「天穏 純米 にごり」だった。板倉酒造のお酒は当連載でこれまで、6種類を取り上げている。酒名の如く、穏やかな酒、というイメージを持っている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。
SA「プチプチ(ガス)いるかな?」
U 「プチプチ、全然いないっすよ」
酒蛙「やわらかく、なめらかな口当たり」
TU「バナナ感がある」
W 「このお酒、にごり酒っぽくないですね」
KT「このお酒は淡麗系ですよ。みなさん“にごり”にだまされてはいけません」
U 「そう。不思議なにごり酒ですね」
KW「うん、淡麗だね」
SA「水の如し」
酒蛙「まさしく淡麗辛口。すっきりした硬めの酒質だが、それこそ穏やかな旨みも出ている」
SI「酸はあるかな」
酒蛙「酸は奥にすこしいる。燗酒にすると酸が出て来る予感。余韻に軽い苦みあり。クラシックタイプのライトボディー寄り。あるいは爽酒」
蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。
「メリハリつけるために例年よりもにごりを多めにしました。米は五百万石で、6号と7号、6+7号ブレンドをそれぞれ2本ずつ醪を立て、搾ってからブレンドしています。中庸だけど様々な要素がみえる深みのある酒です。純米にごり1800ml/720mlは、R3BYの酒100%単体で瓶詰めされています」(酒蛙注…6号、7号は酵母のこと)
裏ラベルのスペック表示は「令和3年醸造、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、原料米 奥出雲産五百万石100%、精米歩合60%、日本酒度+3、アルコール分15度、酵母 6+7号、出雲杜氏 小島達也、製造年月2021.12、出荷年月22.7」。
裏ラベルには「天 穏やかなること 窮み無し」と書かれている。「天穏」という酒名の由来でもあるが、これだけだと、わたくしを含め、何のことだかさっぱり分からない。蔵のホームページを開いてみたら、その解説が載っていたので、以下に転載する。
「清酒『天穏(てんおん)』の醸造元、板倉酒造は明治4年の創業。天穏という酒名は大正5年に当家宗門である日蓮宗本山要法寺管主坂本御前より仏典の無窮天穏という言葉から命名されました。無窮天穏とは、天が穏やかであれば窮する(困る)ことは無い、世界とその未来が平和であることを願う言葉です」
TU会例会ではこのほか「作 白鶴錦 純米大吟醸」(当連載【5046】で掲載済み)、「悦凱陣 うすにごり 生 純米吟醸 興」(当連載【451】で掲載済み)、「大那 純米吟醸 無濾過 特注 ましだや」(当連載【1876】で掲載済み)もいただいたが、いずれも当連載で既に取り上げているので、ここでは割愛する。