【5049】土田 生酛 別誂 仕込8号 純米吟醸(つちだ)【群馬県】

2023年02月02日
酒蛙酒蛙
群馬県利根郡川場村 土田酒造
群馬県利根郡川場村 土田酒造

【E居酒屋にて 全7回の⑦完】

 先だって、なじみのE居酒屋の女将さんから連絡が入った。「新しいお酒をたくさん入れたので、飲みにいらっしゃい」。さっそく訪れ、4種類の酒をテイスティングしたところで、客3人組が入ってきた。3人ともタバコぶかぶか、カラオケがんがんやらかしたため、とてもじゃないけどテイスティングに集中できない。ということで、いったん打ち切り、後日出直し、テイスティングの続きに取り組んだ。

「央」「超」「くどき上手」「作」「写楽」「花邑」と飲み進め、最後にいただいたのは「土田 生酛 別誂 仕込8号 純米吟醸」だった。土田酒造のお酒は当連載でこれまで、8種類を取り上げている。

 土田酒造は、近年、さまざまな新しいことにチャレンジし、全国の酒造関係者から動向が注目されている気鋭の酒蔵だ。とくに生酛仕込みを得意としており、全量生酛蔵へ移行させた。今回のお酒はどうか。期待をもっていただいてみる。

 上立ち香は「セメダイン(酢酸エチル)+バナナ香すこし」の香りがやや華やかに広がる。含み香は甘旨酸っぱいニュアンス。おおっ、これはアンズの香りだ!!! アンズ香をやや強く感じる。華やかな果実香と、さわやかな酸が、この酒の特長。強い酸だ。すごい酸だ。この酸がいい。旨みと酸がはじける。ジューシー。旨みが良く出ているのにキレが良い。後味のサバケが良い。マジ美味しい。温度がすこし上がってくると、さらに味がふくらみ、旨みと酸が増す。う~む、旨い。モダンタイプのミディアムボディー酒。あるいは薫酒的醇酒。

 瓶のラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「〈ツチダキモト別誂仕込8号〉土田酒造の定番商品“土田生酛”の上位版。江戸時代の製法、生酛仕込みを土田酒造流い表現した、古くてあたらしいモダンな味わい。8号は、クリアな生酛を追求する土田生酛をさらにクリアに。なめらかな舌触りと華やかさが特徴です。 冷酒◎  常温△  お燗×」

 また、蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。全国新酒鑑評会に出品し落選したことを赤裸々に紹介している。このあっけらかんとした姿勢が、実に好感が持てる。

「全国新酒鑑評会や、関東信越国税局酒類鑑評会に出品するためのお酒です。醸造技術の向上と、独自なことをやりたい他蔵の後押しとなるため造っております。土田生酛を、さらに香りと甘みがありながら、後味を綺麗に造ることが目標です。
 今回は、全国新酒鑑評会のみ出品しましたが、残念ながら選外となりました。関東信越国税局酒類鑑評会については、このお酒では勝てないと事前に判断して、別のお酒を出品致しました。
 保管は冷蔵が推奨ですが、飲むときは常温からお燗と幅広くお試しできます。クリアな生酛を追求する土田生酛をさらにクリアに。なめらかな舌触りと華やかさが特徴です」

 ラベルのスペック表示は「令和3酒造年度(2021-22)、原材料名 米(群馬県産)米麹(群馬県産米)、精米歩合60%、アルコール分14%、使用酵母 協会701号、使用種麹 焼酎用黄麹 白夜」。

 また、蔵のホームページではこのほか、以下を開示している。「・原料米:群馬県産飯米 ・仕込み水:武尊連峰伏流水(関東名水百選) ・麹歩合:16%  ・アルコール度数:14%(原酒)  ・グルコース:2.1  ・日本酒度 :+1  ・酸度:1.7  ・アミノ酸:1.1」

 このほか、ラベルには以下のことが書かれている。「当蔵のすべての日本酒は、醸造アルコール等の添加物を使用しない生酛造りの日本酒です。酒質矯正剤及び発酵補助剤(乳酸・酵素剤)など、ラベルに表示義務のない添加物も一切使用しておりません」