【4967】郷宝 特別純米 彗星(ごうほう すいせい)【北海道】

2022年11月26日
酒蛙酒蛙
北海道亀田郡七飯町 箱館醸蔵
北海道亀田郡七飯町 箱館醸蔵

【B居酒屋にて 全7回の①】

 B居酒屋は「全国の地酒200種類を常時置いています」がウリだ。1カ月に1回のペースで店を訪れると、日本酒のラインナップはだいぶ変わっているので、当連載「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。今回は、当連載でまだ取り上げたことがないお酒7種類をいただいた。

 店長が「このお酒は、新規参入の蔵が造ったものです」と紹介してくれた「郷宝 特別純米 彗星」からいただくことにする。廃業する日本酒蔵が多い中での新規参入は、実に喜ばしいことだ。

 しかも函館というから感慨深いものがある。函館市は北海道有数の観光都市でありながら、地酒が無いのが悩みだった。このため、小樽市や兵庫県の酒蔵に頼んで、函館ラベルの酒を造ってもらい、観光客に提供してきたいきさつがある。蔵ができたことで、天下晴れて“函館地酒”を名乗ることができる、というわけだ。

 蔵が新規に立地した経緯について、地元函館新聞の2021年9月15日付ウェブサイトは、以下のように報じている。
     ◇
 日本酒の酒造元として35年ぶり、蔵元としては84年ぶりに道南地域に生まれた「箱館醸蔵有限会社」。事業主体は100年以上の歴史を持つ七飯町の酒販店「冨𠩤商店」。杜氏に留萌管内増毛町の「国稀酒造」で杜氏兼製造部長を務めた東谷浩樹さんを迎え、JR大中山駅前に建築した酒蔵で2021年2月に日本酒の製造を開始し、新銘柄「郷宝」が誕生した。
(中略)
 酒販店として日本酒に携わり、過去に道外の酒蔵で酒造りを学んだことのある冨𠩤節子社長は、「旅行に行けば、郷土料理や名物料理に合う、その土地の水と米が作り出す地酒がある。道南には山海の美味が豊富にあるのに、それに合わせる地酒がないのがずっと寂しかった」と話す。栽培が困難だった道南地区にも近年、酒造好適米が生まれ、酒造りができる環境が少しずつ整ってくると「自分たちの手で地酒を作り出そう」と心を決め、開業へ向け走り出した。新規発行が原則認められていない清酒製造免許の取得が、一番の難関だったが、酒造事業から撤退を考えていた岡山県内の酒造会社から事業を継承してクリア。その熱意に応えたいと酒造りに知見の深い東谷さんが立ち上げメンバー入りすると、動きは一気に加速した。(後略)
     ◇

 さて、いただいてみる。上立ち香、含み香ともかなり抑えられている。さっぱりとした軽快感のある口当たり。さらりとした淡麗な酒質。味わいは、酸が非常に良く出ており、旨みがややある、旨口~辛口の中間くらい。余韻は酸と辛み。嫌味は部分が一つもない、非常に良い酒だとおもった。クラシックタイプのライトボディ。酸があり、ライト感覚なので、飲み飽きしない。晩酌酒や宴会酒に最適のお酒だとおもった。。

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。「酒米本来の旨みを品よく引き立てながら、後口はすっとキレがよく爽やか。甘やかで穏やかな香りがここちよく、清涼感のある日本酒です」

 ラベルのスペック表示は「原料米 北海道産契約栽培米 彗星100%使用、原材料名 米(七飯町産)米こうじ(七飯町産米)、精米歩合55%、アルコール分16度、杜氏 東谷浩樹、製造年月2022.07」。

 使用米の「彗星」(すいせい)は北海道立中央農業試験場が1996年、母「初雫」と父「吟風」を交配。育成と選抜を繰り返して品種を固定。2006年に命名、2006年に種苗法登録された酒造好適米。

 酒名「郷宝」の由来について、函館市公式観光情報(ウェブサイト)は「『郷の宝』が名前の由来」と説明している。