ミシガン大がオハイオ州立大とのライバル対決制す 米大学フットボール第13週


全米大学体育協会(NCAA)2022年シーズン第13週(11月24~26日)は、伝統的なライバル対決が目白押しの感謝祭ウイークに熱戦を展開した。
トップ10同士の対戦を除き、全米ランキング10位以内の3チームが下位校に敗れる波乱のレギュラーシーズン最終週となった。
(注)文中の順位はAP通信(記者投票)ランキング
▽ミシガン大、逆転で天王山を制す
2006年以来となるビッグ10カンファレンスの名門校同士の全勝対決は、ランキング3位のミシガン大が同2位のオハイオ州立大を後半に逆転、45―23で快勝した。ミシガン大は2年連続の勝利で、通算対戦成績を60勝51敗6分けとした。
ホームのオハイオ州立大は第1Q、ハイズマン賞候補に名を連ねるQB、CJ・ストラウドが同じ2年生のWRエメカ・エグブカへの4ヤードTDパスで先制すると、序盤のゲームの流れを引き寄せ10―3とリードする。
ミシガン大も立ち上がりに硬さがあったこちらも2年生の司令塔JJ・マッカーシーが第2Q、メインターゲットのWRコーネリアス・ジョンソンへの69ヤード、75ヤードの連続TDパスを決めて逆転。それでもオハイオ州立大は、ストラウドからWRマービン・ハリソンへの42ヤードのTDパスで20―17と勝ち越して前半を終える。

気温11度、好天のオハイオスタジアムのスタンドを埋めた10万2780人の多くが言葉を失う展開は、ここからだった。
第3Q序盤、ミシガン大は7プレー75ヤードのドライブをマッカーシーからTEコルストン・ラブランドへの45ヤードTDパスで逆転した。
この直後のシリーズ、オハイオ州立大は同じダウン間に三つの異なる反則を犯し、35ヤードの罰退。思わぬ試合展開に苛立ちが募り、明らかに歯車が狂い始める。
モメンタムを引き寄せたミシガン大は、マッカーシーが自ら3ヤードTDランを決めると、RBドノバン・エドワーズが75ヤード、85ヤードと続けて独走TDを決め、勝利を手繰り寄せた。
ミシガン大は、ジム・ハーボー監督が実績ある4年生QBに代え、第7戦からスターターに抜擢したマッカーシーをはじめ2年生選手が活躍した。
12戦全勝としたミシガン大は次週、西地区1位のパデュー大とのビッグ10チャンピオンシップ進出を決め、その先のカレッジフットボールプレーオフ(CFP)を見据える。

【SEC】
ランキング首位のジョージア大(SEC東)はジョージア工科大(アトランチックコースト連盟=ACC沿岸)を第3Qから引き離して37―14で快勝。12戦全勝で次週のSECチャンピオンシップ出場を決め、西地区のルイジアナ州立大(LSU)と対戦する。
6に躍進したLSUは、同じSEC西のテキサス農工大に23―38で敗戦。第3Q、LSUはこの日3TDのRBジョン・エメリーのランで同点としたが、テキサス農工大に続けてTDを奪われた。
8位のアラバマ大は、ホームにSEC西のライバル校のオーバーン大を迎え、前半に大量リードを奪い49―27で勝った。これで10勝2敗(SEC6勝2敗)としたものの、SECチャンピオンシップ出場権を逃した。

9位のテネシー大はアウェーで州内ライバルのバンダービルト大と対戦、56―0でシャットアウト勝ち。前週膝を負傷したハイズマン賞候補のQBヘンドン・フッカーに代わり先発のジョー・ヒルトンが活躍した。
24日に行なわれたSEC西の伝統の一戦は、20位のミシシッピ大がミシシッピ州立大に22―24で敗れた。ミシシッピ大は前半を16―14とリードして迎えた第4Qに逆転を許した。両校はともに8勝4敗(SEC内4勝4敗)となった。
【ビッグ10】
11位のペンシルベニア州立大は、4年生QBショーン・クリフォードが4TDパスを決めるなど各Qに得点しミシガン州立大に35―16で順当勝ち。ペン州立大はこれで10勝2敗(ビッグ10内7勝2敗)としてメジャーボウルゲーム出場に望みをつないだ。

【パック12】
5位の南加大は15位ノートルダム大との伝統の一戦を38―27で制した。
第2Qを終え17―7とリードした南加大は、第3Q以降も主導権を譲らず第4Q途中まで15回のパスをすべて成功させていたQBドルー・パインを軸に追撃するノートルダム大の反撃を断ち、ユタ大との再戦となるPAC12チャンピオンシップ出場を決めた。
10位のオレゴン大は22位のオレゴン州立大に34―38で逆転負けを喫した。オレゴン大31―17のリードで迎えた第4Q、ホームのオレゴン州立大は新人RBアイザイア・ニューウェルが2TDランを決め逆転した。

12位にランクアップしたワシントン大はワシントン州立大と対戦。第3Qまで2点リードの接戦から、2TDとFGを加え、51―33と引き離した。
ワシントン大を今季から指揮するカレン・デボアー監督は、昨季4勝8敗のチームを10勝2敗に引き上げた。
14位のユタ大はコロラド大から前半に6TDを奪うと、後半も得点を重ねてホームチームを63―21と圧倒。次週、南加大とのパック12チャンピオンシップに臨む。
17位のカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)はアウェーでカリフォルニア大と対戦し、獲得距離で541ヤードと圧倒しながらもつれたゲームを35―28で制した。

【ビッグ12】
11戦全勝で4位のテキサスクリスチャン大(TCU)は、第1Qに24点を奪うなどアイオワ州立大を圧倒し、62―14で大勝した。ビッグ12チャンピオンシップで再びカンザス州立大と対戦する。
15位のカンザス州立大は第1Qから23点を奪い、カンザス大に47―27で順当勝ちした。3度目のランキング返り咲きで24位のテキサス大は、ベイラー大を第4Qに逆転、38―27で8勝4敗(BIG12内6勝3敗)とした。

【ACC】
7位のクレムソン大はサウスカロライナ大(SEC東)との伝統の州内対決。第1Qから終始リードしたが、第4Qにサウスカロライナ大のKミッチ・ジーターに35ヤードFGを決められ30―31と逆転負けした。
18位ノースカロライナ大(ACC沿岸)はノースカロライナ州立大と対戦。第4Q最終プレーで同点としたものの、2度のタイブレークの末に27―30で敗れた。ノースカロライナ大は次週、クレムソン大(大西洋)とのACCチャンピオンシップに臨む。
16位のフロリダ州立大はフロリダ大(SEC東)と同点で迎えた第4Q残り4分6秒、エースRBトレイ・ベンソンの17ヤードTDランで45―38とし逃げ切った。
【アメリカン体育連盟(AAC)】
19位のチュレーン大が21位シンシナティ大を27―24でくだした。先手を取られたシンシナティ大が第4Qに初めて勝ち越すが、チュレーン大は残り5分10秒、QBマイケル・プラットの逆転TDパスで勝った。
22位のセントラルフロリダ大はサウスフロリダ大と対戦。前半の21点のリードを第3Qに2点差まで迫られ一旦は逆転されたが、残り20秒に46―39で逆転勝ち。チュレーン大とのAACチャンピオンシップに臨む。

浅岡 弦 (あさおか・げん)プロフィル
1957年生まれ。駒澤大学でOG、ラインバッカーとしてプレー。卒業後はコーチ、スタッフとして活動。AFCA(アメリカンフットボールコーチズアソシエーション)元海外会員。ベースボール・マガジン社の『アメリカン・フットボールマガジン編集部』在籍中から国内学生、NCAAフットボールのレギュラーシーズン、ボウルゲームを取材。ケーブルテレビのカレッジフットボール番組のコメンテーターを長く務める。
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