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【4402】カットよっちゃん×春鶯囀(しゅんのうてん)【山梨県】

2020.11.20 18:59
山梨県南巨摩郡富士川町 萬屋醸造店
山梨県南巨摩郡富士川町 萬屋醸造店

【E居酒屋にて 全6回の③】

 近々E居酒屋で、わたくし主催の中規模の飲み会を企画している。女将さんとその打ち合わせをするため、一人で暖簾をくぐる。話は簡単に終わり、あとは飲むだけ。

「庭のうぐいす」「東洋美人」と飲み進め、3番目にいただいたのは「カットよっちゃん×春鶯囀」だった。「春鶯囀」は当連載でこれまで、6種類を取り上げている。

 驚いたのは、酢イカの駄菓子「よっちゃん」と合わせる目的で開発されたお酒だったこと。それより何より、わたくしが駄菓子「よっちゃん」を知らなかったことだ。周囲から、相当な変わり者と見られてしまった。「よっちゃん」って、そんなに常識的な食べ物なのだろうか。

 よっちゃん食品工業のサイトによると、「カットよっちゃん」とは、イカと魚肉シートを食べやすい一口サイズにカットし、さっぱりとした酸味に仕上げたもの。また、「イカの駄菓子といえば『よっちゃんイカ』。創業1959年によっちゃん食品工業の前身となるスルメ足加工の事業を始めた老舗。よっちゃん、は創業者金井芳雄会長の愛称です」。

 2019年8月5日、全英女子オープンゴルフで42年ぶりに日本人選手のメジャー大会優勝を果たした渋野日向子選手が、最終日のプレー中に「タラタラしてんじゃね~よ」を食べていたと明らかにし話題になったが、この「タラタラ…」も、よっちゃん食品工業の商品だ。

 蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。「キングオブ駄菓子『カットよっちゃん』専用日本酒。よっちゃん食品工業と萬屋醸造店とのコラボ商品です。カットよっちゃんにベストマッチするほんのり甘くスッキリとした軽い味わいの日本酒です。カットよっちゃんもご一緒に!」

 また、瓶のラベルは、この酒を以下のように紹介している。「カットよっちゃん専用日本酒」「よっちゃん食品工業と萬屋醸造店とのコラボ商品です。ほんのり甘くスッキリとした軽い味わいです。もちろん、カットよっちゃんも忘れずに!」

 さて、いただいてみる。甘みは感じるが、旨み・酸・辛み・苦みが感じられない、まずありえない酒質だ。う~む…と唸るしかない。なんという酒だ! さて、「よっちゃん」と合わせてみる。まず「よっちゃん」を口の中に入れ、すこし口の中に残した状態で酒を飲む。これが正しい合わせ方だ。すると、どうだ。甘いだけの軽快・淡麗酒が、ほのかに甘酸っぱい味わいになったのだ。酒の甘みと、「よっちゃん」の酸が口の中で合体し、バランスの良い酒になったのだ。これは驚きだった。たしかに「よっちゃん」と合わせるための専用酒、と豪語するだけのことはある。ああ、驚いた。

 瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分14度、原材料名 米(国産)米麹(国産米)醸造アルコール、製造年月19.11」。ここで初めて分かった。このお酒は、普通酒だったんだ!

 蔵のホームページは、与謝野夫妻と銘柄名について、以下のように説明している。

「寛政二年(1790年)初代当主・萬屋八五郎により、現在の地に酒蔵を開き、『萬』の略字『万』を上下に分けた『一力』から『一力政宗』の酒銘が誕生しました。
 昭和8年(1933年)六代目当主・中込旻の弟 純次と交流の深かった、歌人与謝野鉄幹・晶子夫妻が、純次の母さとじの歌に興味を持たれ、『一度お会いしたい』と話が持ち上がっていました。
 その年の10月、ぶどうが実り紅葉の美しい季節にとの中込旻の計らいにより、2泊3日の甲斐路の旅が実現されました。
 与謝野夫妻は、勝沼ぶどう園から昇仙峡に1泊、甲府での歓迎会の後、増穂村の中込家(萬屋醸造店)に宿泊、この度で多くの歌を詠み、その中の一首『法隆寺などゆく如し 甲斐の御酒(みき) 春鶯囀のかもさるゝ蔵』に当主旻は深く感銘し、酒銘を『春鶯囀』へと改め、現在に至っております」

「法隆寺などゆく如し 甲斐の御酒(みき) 春鶯囀のかもさるゝ蔵」は晶子の歌。酒名「春鶯囀」は、与謝野晶子の歌由来なのである。

※ 写真の酒瓶の前に置かれているのが「よっちゃん」。

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