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【4393】鉄砲隊 純米吟醸 爆発にごり 生(てっぽうたい)【和歌山県】

2020.11.11 16:48
和歌山県岩出市 吉村秀雄商店
和歌山県岩出市 吉村秀雄商店

【H居酒屋にて 全3回の①】

 酒友であり麺友でもある「ちーたん」と、なじみのH居酒屋で二人酒だ。店主から「新しいお酒が4種類入りましたよ」とのショートメールが入ったため、「おおおっ、それなら行かずにいられようか」と、おっとり刀で暖簾をくぐった。なんだか、時代劇みたいな文章になってきた。

 冷蔵庫に「鉄砲隊」の名を見たときは感動した。おおおっ、ずっと会いたかったぜ、10年以上も待ったんだかんね! と一升瓶に声を掛けたくなるほどだった。今から13年ほど前のこと。開店して1年くらいしかたっていなかったH居酒屋に入った。最初は飲み会で。気に入ったから次は単騎で。その単騎のとき、「鉄砲隊」を飲んだ。特定名称やスペックは忘れてしまったが、びっくりするような熟成酒で、本当にびっくりした(かなり幼稚な文章になってしまったが、まあいいのだ)。また、ラベルの「鉄砲隊」というロゴもカッコ良かった(今回も同じロゴ)。

 ということで、わたくしはかねてから「鉄砲隊」を入れるように店主にお願いしてきたが、熟成酒は売りにくいという理由で店主はずっと渋ってきた。それが今回、念願かなっての登場だ。生酒だから、熟成感はないだろう、というヨミだったようだ。

 わたくしがH居酒屋で「鉄砲隊」を初めて飲んだのは2007年ごろ。当連載は2010年1月スタートだから、「鉄砲隊」は今回、「日本酒津々浦々」に初登場だ。13年ぶりの「鉄砲隊」。実に長いインターバルだ。

 さて、この酒は、活性にごり酒だ。何も考えずに開栓すれば、中身の3分の1ほどが吹きこぼれる恐れがある。そんな危険な酒だ。蔵も「爆発にごり」と命名し、飲み手に注意を喚起している。

 瓶の裏ラベルには以下のような注意書き。「爆発にごりは、生酒で酵母が生きております。発泡が強くシャンパンのような軽さがあります。瓶の中で発酵を続けており、炭酸ガスが充満しております。吹きこぼれたり、瓶が破損することがありますので、開栓前に注意事項をよくお読みの上、取り扱いにご注意下さい」

 そして、その下に細かい字で、27行にもわたって、開栓の方法を事細かに説明している。わたくしは、この手の酒の開栓は、自分で言うのも変だが、非常に上手で、一滴も漏らさず開栓することができる。今までで開栓までに一番時間がかかったにごり酒は約30分。このときは、飲み会に参加したメンバーのほとんどが飽きてしまった。

 さて、今回の酒は、ガス抜きとともに、「おり」が瓶の中で「ぐわん ぐわん」と大暴れ。しかし、「おり」の暴れが収まったらガスも抜けていた。「爆発にごり」という酒名にびびったが、まあ、苦もなく、約5分で成仏、無事開栓することができた。さて、グラスに注ぐ。コメがそのまんまの形でグラスに浮いているのが面白い。いただいてみる。

 酒蛙「プチプチ、ガスを舌先で感じる。麹香がむんむん」
 ちーたん「すっきり、さわやか」
 酒蛙「酸が出ており、辛みと苦みが強い。甘旨みは少ない」
 ちーたん「苦みと酸を感じる。見た目はどろどろだが、味はすっきり」
 酒蛙「甘旨みはすくなく、ドライ感がある。爽快感がある」

 それから10日後、今度は単騎でH居酒屋の暖簾をくぐり、再び「鉄砲隊」を味わってみた。味が大きく変わっていた。

 酒蛙「酸・辛・苦がいい塩梅に出ており、旨みも出ている。開栓当初は甘旨みは出てこなかったが、10日くらい置いたらガスが無くなり、旨みが出てきた。全体的に開栓当時よりかなり味が乗り、力強い味わいになり、いい感じだ。辛口ながら、丸みのある口当たり。余韻の辛みが長い。基本的には濃醇辛口酒」

 つまり、この10日の間に、ドライ感が消え、旨みが出てきたのだ。もちろん、旨みを感じる方が美味しい。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、アルコール度数17度、精米歩合60%、製造年月2020.3」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 この蔵の主銘柄「日本城」の由来についてウィキペディアは、以下のように説明している。「創業者の吉村秀雄が和歌山城を散策しながら決めたとされている。日本が世界に目を向け始めた当時に、『日本には、日本城といわれる銘酒がある』とその名を世界に轟かせたいと決意し名付けた。『日本城』は和歌山県内最多となる全国新酒鑑評会での金賞受賞数や特選街主催の全国日本酒コンテストにおいても6度の日本一を受賞するという評価を得ている。また、アメリカ、ドイツ、メキシコなどへの輸出も行っている」

 また「鉄砲隊」の名の由来について、ウィキペディアは「吉村秀雄商店の蔵がある和歌山県岩出市の根来寺に由来しており、かつて根来衆とよばれる僧衆による鉄砲隊があったことから名付けられている」と説明している。

 酒名「車坂」の由来について、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「車坂は小栗判官が熊野に向かう際、通ったといわれる坂。熊野の地は古くから死霊が集まる死者再生の聖域とされ、男女の別、貴賎を問わず多くの参拝者を受け入れました。熊野に詣でれば病苦から逃れられ、たとえ途中で行き倒れても来世で救われる、また道行く人々と助け合うことが死んだものへの供養になると信じ長旅の苦しみを分かちあいました。小栗判官の伝説は、こうした熊野の地が生み出した『死と再生の物語』なのです。労苦を癒し喜怒哀楽と共にある日本酒。人それぞれが日々向かい合う坂。頑張ろう日本再生の願いを込め車坂と名付けました。」

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