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【4242】釜屋新八 純米吟醸 生酛仕込 無濾過生原酒(かまやしんぱち)【埼玉県】

2020.6.13 21:17
埼玉県加須市 釜屋
埼玉県加須市 釜屋

【Z料理店にて 全6回の②】

 Z料理店の店主はMLB、NPB、社会人野球、大学野球、高校野球に詳しく、わたくしは彼と野球の話をするのが好きだ。店主も、わたくしと野球の話をするのが好きなようで、いつも、店主の定位置の向かいのカウンター席を用意してくれる。今回もその場所に「reserve」の置物が。

 店に入るなり、店主が「蛙さんの飲んだことのない酒を入れときましたよ」。冷蔵庫を見る。おおおっ、本当だ。わたくしが飲んだことがない酒が6種類鎮座している。うれしいではないか。店主の好意にこたえ、全部飲もうではないか。

 まず選んだのは「羽前白梅 純米吟醸 無濾過生原酒 しぼりたて 俵雪」。続いていただいたのは「釜屋新八 純米吟醸 生酛仕込 無濾過生原酒」だった。この蔵のお酒は当連載でこれまで、「力士 純米」(当連載【3446】)を取り上げたことがある。さて、今回のお酒をいただいてみる。ラベル絵が龍で、なんとなくクセ者の予感がする。

「すげぇ! 暴れん坊将軍!」。口に含んだ瞬間、叫んでしまった。アタックのインパクトが尋常じゃない。味が弾ける。酸が躍動する。旨みと酸とセメダイン香(酢酸エチル)がうねりまくり昇天する、表現不能な味わいのるつぼ。やんちゃ極まれり、とおもわせる酒。ミネラル感もあり、非常にジューシー。フレッシュ感があり、微発泡が舌先をチリチリ刺激する。酸が過激に良い。単なる「旨酸酒」ではない。厚みがたっぷりで極太。余韻は辛み。キレ良し。暴れん坊将軍なのに、きれい感がある不思議さ。それにしても、これほどセメダイン香が強い酒も珍しい。あれよあれよ、という間にグラスを飲み干してしまった。酒に飲まされてしまった。近年、こんな経験は無い。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「2019(R1)BY、全量山田錦、アルコール分18度、精米歩合60%、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、原料米 阿波山田錦100%(徳島県産)、製造年月20.02」。

 この蔵の主銘柄「力士」と今回の酒名「釜屋新八」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「1785年(天明5年)銘柄『力士』命名
初代釜屋新八の後を継いだ新八の兄、二代目小森久左衛門が酒銘を『力士』と命名する。この『力士』は中国の歌人李白の『襄陽歌』の一節に由来しており、
 《舒州杓 力士鐺(舒州の杓よ 力士の燗鍋よ) 李白與爾同死生(李白は汝らと生死を共にしよう)》
『舒州の杓』というのは、この頃(唐代)の酒器の名産地『舒州』で作られた柄杓のこと。『力士の燗鍋(かんなべ)』というのは、磁器の名陶工『力士』が作った燗鍋のこと。ともに李白が愛した酒器だった、といわれている」

 なんと「力士」は、大相撲の相撲取りのことではなかったのだ。昔の中国の「陶工」のことだったのだ。そして「釜屋新八」は創業者の名だった。

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