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地域

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地域再生大賞

地域再生大賞とは地域づくりに取り組む団体にエールを送ろうと、地方新聞社と共同通信社が2010年度に設けた。各紙が都道府県から原則1団体ずつ計50団体を推薦し、専門家でつくる選考委員会が審査にあたる。これまでに表彰した団体は計400団体に達した。活動分野は産業振興や景観保護、子育て支援など多彩で、地域を考える輪が広がっている。

表彰団体の活動報告はこちら

大賞

秋田県大館市 | 陽気な母さんの店

大賞

 安売りや生産者の顔写真でPRしない―。ひと味違う農産物直売所は客足が途切れない。「責任を持ちおいしさと安心を売っている」と石垣一子社長。生産者と消費者の気持ちが分かる「農家の母さん」の視点で弁当宅配や民泊などを事業化、年商2億3千万円の体験交流型直売所に育てた。
 リンゴなどの栽培が盛んな秋田県大館市は収穫期だけ開く直売所が主流。石垣さんらの常設店には反対もあり、行政の補助金が得られなかった。しかし「嫁だからと遠慮せず、胸を張って農業を発信したい」との思いを共有する女性農業者88人が出資して、2001年に営業を始めた。
 全員が減農薬栽培に取り組み、買いやすいように商品は品種別にまとめ棚の高さや色もこだわった。個人別に生産量や収穫時期をデータ化し、月ごとに緻密な販売計画を立てて初年度から年商1億円を達成。学校や福祉施設にも取引は広がり、15年に株式会社化した。
 民泊や料理体験では国内外から参加者を受け入れる。「大館をみんなの古里にしたい」。母さんたちの挑戦は続く。

準大賞

東京都豊島区 | 豊島子どもWAKUWAKUネットワーク

準大賞

 きっかけは家庭の事情で高校進学をためらう地元の子どもと知り合ったことだった。自分たちにもできることをと栗林知絵子理事長らが呼び掛け、2012年に組織を設立し活動を本格化させた。
 子育て支援は遊びと学び、暮らしの3分野が柱だ。行政から委託された遊び場を運営し、都会ではなかなかできないどろんこ遊びなどを楽しむ機会をつくる。大学生らのボランティアが無料で勉強を教える学習会も毎週、開いてきた。
 食事を提供する子ども食堂は、豊島区の各地で運営。先駆けとしてノウハウを本や講演会で伝え、約250団体が参加する全国ネットワークをつくり、食材の融通にも取り組む。「小さいころに関係を深めれば、地元が安心して戻れる場になる」と栗林さんは話し、子どもの居場所づくりに息長く取り組む考えだ。

島根県雲南市 | おっちラボ

準大賞

 人口減少や高齢化が進む山あいの地で、産業の新たな担い手を育てる活動を続けてきた。さまざまな講師を招いて塾を開き、卒業生は若者を中心に約100人。その後の開業も支援し、地域に活気を呼び込んでいる。
 島根県雲南市が始めた人材育成塾の運営を受託し、2013年にスタート。県内外から集まった塾生のプランの実現を目指す。きめ細かな対応を重ね、地元素材を生かしたカフェや、お年寄り向けに買い物と組み合わせた運動指導などユニークなビジネスも生まれた。
 Uターンした看護師らが始めた訪問看護ステーションは会社化し軌道に乗った。矢田明子代表理事が進める地域密着型の看護活動も注目される。起業を目指す人が交流するオフィスも運営、地域づくりのアイデアを形にする仕掛けを広げている。

奨励賞

宮城県石巻市 | フィッシャーマン・ジャパン

選考

 東日本大震災で被災した漁師や仲買人が水産業の課題に挑み、担い手を増やそうと2014年、宮城県石巻市で結成。目指すはかっこよく稼げ革新的な「新3K」産業だ。
 魚の特別な下処理を学び付加価値を高め、インターネット通販や有名料理店との直接取引に力を入れる。地元スーパーに売り場を設けたり、都内で居酒屋を経営し漁師によるイベントを開いたりとユニークな取り組みを続ける。
 大学や漁協、市と連携し漁師の育成プログラムもつくった。空き家を再生したシェアハウスも用意して若者を支援する。

ブロック賞

福島県南相馬市 | <北海道・東北 >小高ワーカーズベース

選考

 福島第1原発の20キロ圏内にある福島県南相馬市小高地区で2014年に設立。避難区域初のシェアオフィスを手始めに、地区唯一の食堂や仮設商店を次々に出店し帰還住民の暮らしを支えた。ガラスアクセサリー工房も立ち上げ、若い世代に魅力的な仕事づくりにも取り組む。食堂の成功が呼び水となり、移転していた飲食店も次々復活。「住民ゼロからの街づくり。生きる希望を持ってもらえる起業を続けたい」と意気込む。

横浜市 | <関東・甲信越 >ふらっとステーション・ドリーム

選考

 1970年代に分譲された横浜市郊外の大規模団地でコミュニティーカフェを運営する。地元の主婦が手づくりする日替わりランチは600円。日曜以外は毎日開店し、高齢者の健康を支える。食以外にも介護予防講座などニーズをとらえたサービスで地域に安心感を届け、年間利用者は1万6500人。開発時は「陸の孤島」ともいわれた団地だが、空き家はほとんどなく、地域のブランド力にも好影響を与えている。

石川県白山市 | <東海・北陸>シラミネ大学

選考

 日本三名山・白山の麓にあり、伝統的な街並みが残る石川県白山市の白峰地区でUターン組の若者が2015年に結成。焼き畑農法やもてなし料理など、昔の暮らしをお年寄りに聞き取りながら再現する一方、地元に伝わる輪踊りをSNSで発信し、集客を例年の10倍に増やしたり、ハロウィーンイベントに独居老人宅の巡回を組み込んだりと、若者ならではの手法で地域に活気をもたらしている。

京都府京丹後市 | <近畿>気張る!ふるさと丹後町

選考

 住民の足の確保は地方共通の大きな悩みだ。最寄りの駅が遠い京丹後市丹後町で、住民らが協力して米国のウーバー・テクノロジーズのシステムを導入、国の許可を得て2016年から配車を始めた。運転手は住民で、スマホやタブレットでの呼び出しにマイカーで駆けつける。ITと住民同士の支え合いが原動力だ。現金支払いやスマホのない人に代わって配車する仕組みなど、使いやすいよう改善を重ねる。乗車区間が地域内など規制の壁はあるが、一歩ずつ取り組みは進展している。

広島県尾道市 | <中国・四国>尾道空き家再生プロジェクト

選考

 坂や路地裏の住宅密集地で急増する空き家の再生に2007年から取り組み、小説や映画の舞台にもなった趣ある街並みの保全に貢献している。住民参加型のDIYによる再生が特色で、朽ちたままだった町家や別荘21軒がカフェやゲストハウスに生まれ変わった。作業の体験合宿や空き家巡りツアーで協力者を増やし、会員は約180人。市の空き家バンク事業も手掛け、若い移住者を集めている。

大分市 | <九州・沖縄>湯布院映画祭実行委員会

選考

 日本の映画祭で最も歴史が古い〝大御所〟。大分県由布市湯布院町の旅館経営者と大分市の映画愛好家らで結成した実行委員会が資金調達や会場手配を手弁当で続け、2018年で開催43回を数える。作り手とファンが交流できる映画祭がコンセプトで、作品をめぐり互いに意見を熱くぶつけあうシンポジウムが目玉だ。期間中毎晩続く宴会では旅館の料理人が腕をふるい、宿泊割引でも協力。住民あげてのもてなしで温泉街のブランド力も高めた。

特別賞

甲府市 | ワインツーリズム

選考

 甲州市や笛吹市など山梨県内5市の60カ所を超えるワインの醸造所を巡り、試飲したりブドウ畑を散策したりして楽しむイベントを毎年11月に開催、2017年で10回目を迎えた。醸造方法やワインの味わい方などを醸造家と訪れた人が話し、交流を深める。日本有数のワインどころの地元にとっては当たり前の光景が、多くの人をひきつける「資源」となることを再認識させた意義は大きい。特産の桃の花が咲く時期にもイベントを行うなど活動を広げ、地域のファンを増やしている。

静岡市 | 里山くらしLABO

選考

 静岡市内の中山間地で、住民の地域づくりを支援する。人口減少や高齢化に対応しようと、地域活動や生活基盤への不満などを中学生以上の住民に行ったアンケートを行い、効果のない活動や組織を減らすなど知恵を絞る。子育て支援のために若い母親の交流の機会を設けたり、移住者が地域に溶け込めるようにガイドブックを作成したりと活動は多彩だ。カフェの運営やフェイスブックによるPRなど地域のニーズに応じて取り組みを進めている。

鹿児島県日置市 | がんばろう高山

選考

 6地区100世帯余りの住民全員が参加して2013年にNPO法人を結成、山あいの集落で活性化を目指した挑戦が続いている。活動の拠点は廃校となった小学校。マス釣りやこんにゃく作りなど産物を生かした行事を盛り込んだ秋祭りを開き、1200人余りが集まる交流イベントに育てた。保冷車を導入して農産物を集めて統一ブランドで販売したり、古民家を改装してカフェを運営したりと住民の仕事づくりに取り組む。移動販売車による買い物支援や、一人暮らしの高齢者の見守りなど暮らしに密着した活動も広げている。