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地域

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地域再生大賞

地域再生大賞とは地域づくりに取り組む団体にエールを送ろうと、地方新聞社と共同通信社が2010年度に設けた。毎年、各紙が都道府県から原則1団体ずつ計50団体を推薦し、専門家でつくる選考委員会が審査にあたる。18年度の第9回までに表彰した団体は計450団体に達した。活動分野は産業振興や文化・伝統の保護、子育てや介護など多彩で、地域づくりを考える輪が広がっている。

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大賞

神戸市 | 多言語センターFACIL

大賞

 阪神大震災で経験を培った外国人被災者向けの支援が出発点だ。通訳派遣や翻訳をコミュニティービジネスとして展開、在留外国人に仕事や社会参加の場を提供しながら、多文化共生に向けた政策提言に取り組む。
 登録通訳・翻訳者は約1200人で、約60言語に対応。防災マップや就学通知など各地の行政情報の多言語化にも企画段階から携わってきた。20年の実績と当事者ならではの気配りで、情報の受け取り手に寄り添った提案ができるのが強みだ。
 地域の拠点病院と連携し、医療通訳にも力を入れる。通訳を介するうちに日本人の患者も医師の説明が分かりやすくなるといい「多言語の環境を整え、やさしい日本語で情報を提供することは、お年寄りや子どもにも喜ばれる」と吉富志津代理事長。「言葉の壁に配慮することは社会の寛容度を高め、成熟させる大きな種になる」。多様な住民が暮らしやすい街づくりを目標に実践は続く。

準大賞

山形県川西町 | きらりよしじまネットワーク

準大賞

 山形県川西町吉島地区の全世帯が加入する強みを生かし、最新の経営手法も取り入れて高齢化が進む地域の課題解決に挑んできた。
 ITを活用した高齢者の見守りや買い物支援、農産物直売所のネットショップ化など手掛ける事業は多彩で、地域の安心感や住民所得の向上に貢献。商業施設と連携して、閑散期を活用し住民が低料金で参加できるレクリエーションは大人気の企画だ。
 若手農家のグループを組織し、都市部との交流ビジネスも展開するなどアイデアを形にしている。独自に構築した合意形成や人材育成のプロセスは地域再生のモデルとして各地に広まっている。

沖縄県宮古島市 | いけま福祉支援センター

準大賞

 島で最後まで暮らしたい―。前泊博美理事長ら主婦グループが、お年寄りの願いをかなえようと立ち上がった。介護の勉強会や60歳以上の島民アンケート、医療機関の確保に奮闘。2004年にNPO法人を設立し、宮古島の隣に浮かぶ池間島で06年、介護事業所の開設を果たした。
 使われていなかった建物を改装して拠点に。地元のお年寄りのケアを担い、介護士など新たな雇用も生まれた。手づくりの福祉は、地域の暮らしに根付き始めた。
 修学旅行生らを対象にした民泊事業や、島外への進学を支援する奨学金も実施。住民挙げて歌や踊りを楽しむ演芸会を開くなど、島の交流の中心的存在になりつつある。

選考委員長賞

山梨県北杜市 | えがおつなげて

選考

 都会のサラリーマンの力を借り耕作放棄地を開墾、農地に変えるユニークな試みを軌道に乗せた。大企業と連携し、農業で都市と地方をつなぐ活動として注目される。
 曽根原久司代表理事は2001年、えがおつなげてを設立。さまざまなつてで放棄地の開墾に協力を求めると、研修の場にと不動産や食品など大企業が参加。社員が育てたコメは社内食堂のほか、地元の蔵元で日本酒に醸造し販売も始めた。
 三重県でも同様の取り組みを実施。企業が地元の間伐材を利用する試みもスタートした。

奨励賞

三重県紀北町 | ディーグリーン

選考

 ホームページなどのデザインが本業だが、地元の魚を子どもたちに食べてほしいと、離乳食事業に乗り出した。主婦らが小骨を抜くなど、ていねいに下処理した魚を調理し真空パックで発送。料理が簡単なことや、子どもの年齢別の商品構成が人気を集める。都市部で料理教室も開催。I・Uターンの若者と住民が力を合わせ、新たな特産品に育てることを目指す。

松山市 | 翼学園(旧えひめ心のつばさ)

選考

 学校を長期欠席する子どもを支援し33年。専門的なカウンセリングで心身ともに元気を取り戻してから勉強や行事に取り組み復帰に導く。希望の職に就けるようにスキルアップも担い、約600人が学校や社会へ巣立った。「子どもは心のどこかで学校や社会に戻りたいと思っている」(大野まつみ理事長)。親の学習会も開き、心理や状況に合わせたケアの重要性を伝え広めている。

ブロック賞

青森県八戸市 | <北海道・東北 >八戸市中心街市民集団まちぐみ

選考

 青森県八戸市内外の小学生からお年寄り400人余りが「組員」となり、市中心街に活気を呼び込む活動を続けている。空き店舗を改装した事務所で、意見交換を重ねて企画を練ってきた。商店をユニークなディスプレーで飾ったり、なじみ客以外は入りづらそうな店を調査したりと、型にはまらない取り組みが特色だ。地元のせんべいを使ったスイーツや開運手袋など、これまでにない商品も送り出している。

栃木県那須町 | <関東・甲信越 >那須まちづくり株式会社

選考

 廃校となった中学校を拠点に、まちづくりを目指す。農産物の直売所やレストランのほか、手作り服の販売店やマッサージなどユニークな店が入居し教室は埋まった。イベントができる大部屋も整え、地元のバンドの演奏で歌う会など住民が交流する場となった。近くで高齢者施設を運営する実績を生かし、校庭に新たな住宅の建設も計画。一体的な運営を進め、高齢者が住民と交流しながら暮らす新たな地域モデルを描く。

愛知県一宮市 | <東海・北陸>志民連いちのみや

選考

 住民主導で新たな地域資源の開発に取り組み、かつて毛織物で栄えた街に新風を吹き込んできた。ものづくりをテーマに3万人の来場者を集める「杜の宮市」はクラフト作家の登竜門的存在に成長。市街地を犬のオブジェで埋め尽くすイベントも10年余り続く。喫茶文化が色濃い土地柄に合わせてオリジナルコーヒーを考案したり、地ビールを復活させたり。カフェの運営や養成講座を通じて市民活動を担う人材育成にも力を入れる。

滋賀県米原市 | <近畿>大野木長寿村まちづくり会

選考

 百名山・伊吹山麓の集落で、通院や庭の手入れなど高齢者の日々の困り事を住民同士が助け合うコミュニティービジネスを展開する。空き家を改装した食堂兼交流拠点では移動販売のイベントや介護予防教室を開き、自宅にこもりがちになるのを防止。遊休農地や竹やぶの再整備で景観の維持と新たな特産品づくりも目指す。今後は葬儀事業にも乗り出す方向で、生涯を地域で終えるための支援は毎年進化を続けている。

UNOICHI実行委員会 | <中国・四国>岡山県玉野市

選考

 地元の顔・宇野港を、手づくりのイベントで元気にしようと活動が始まった。住民だけでなく移住者も参加。市内の高校生もボランティアで運営に携わる。大型客船の来港時などに合わせて開き、訪れた人に瀬戸内海をながめてゆったり過ごしてもらおうと、地元産ビールの店や芝生の上でのヨガ教室など企画に知恵を絞る。対岸の香川県や愛媛県の高校生らに も参加を呼びかけ、交流は広がっている

大分県中津市 | <九州・沖縄>下郷村

選考

 山あいの地で長く暮らしてきた住民と移住者が協力して活動を続ける。メンバーがカメラと編集の腕を生かして作った冊子は、おしゃれなデザインが人気を集める。都市部の雑貨店などに置かれ、移住者のカフェや地元の農産物などを紹介して地域の魅力をアピールする。地域の公民館で独自の映画祭も開催。山里の暮らしをまとめたドキュメンタリーや活動弁士による無声映画の上映、手作りのお菓子や弁当の出店に多くの人が集まった。

特別賞

札幌市 | 札幌大学ウレシパクラブ

選考

 アイヌ文化の担い手育成や、発信を目指して、発足した。大学生が文化を学び、成果をイベントやツアー、学習会など多彩な場を設けて発表している。こうした学生に奨学金を出すほか、趣旨に賛同した企業などとの連携も進める。多文化共生のモデルを探ろうと、各国の先住民との交流や研究も進める。地域社会で重要さを増している多様性の尊重を学ぶ機会を提供している。

広島県三次市 | 川西郷の駅

選考

 近くに買い物ができる施設がなくなった地区で住民が出資して株式会社を設立、大手コンビニチェーンと提携して新たな店舗をオープンした。店内では、日用品や食料品などのほか、地元の農産物も直売。主婦らがつくる餅は売り切れてしまう人気商品に。うどんなどを食べられる軽食コーナーもあり、住民の交流の場になった。買い物難民に悩む地域にとっては、新たなモデルケースとなりそうだ。