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温泉街に電気バス走る 「でんき宇奈月プロジェクト」(富山県黒部市、第5回ブロック賞)

2017.6.19 16:57
 
 

 赤く四角いボディーにタイヤを8輪備えた小型の電気バスがゆっくりと動く。屋根には太陽光パネルも載っている。ガソリン自動車とは違う静かなエンジン音を残して、噴水や足湯、旅館が点在する通りを走っていった。
 富山県黒部市にある宇奈月温泉。自然エネルギーの地産地消による地域づくりが注目を集めている。担っているのは、地元の企業や大学、自治体など産学官でつくる一般社団法人「でんき宇奈月プロジェクト」だ。
 ▽時速19㌔でゆったり
 「低炭素型まちづくり」を掲げた取り組みは2009年、国の助成事業として採択され、スタートした。推進役として「でんき宇奈月プロジェクト実行委員会」を設立し、13年に社団法人化した。環境に優しいリゾートとしてアピールし「宇奈月」のブランド価値の引き上げも目指す。
 電気バスは対面式のベンチシートで、10人乗り。住民が運転手となり観光ガイドも務める。最高時速19㌔とゆったりとしたペースで、温泉街のほか学校や高齢者施設、公園などを数十分かけて周回。運賃は無料で停留所に限らず自由に乗り降りできる手軽さから、観光客だけでなく住民の利用も広がっている。
 当初は1台で始めたが、16年3月には3台に増やし、16年度の乗客数は2万人を超えた。建設会社社長で、同プロジェクトの大橋聡司代表理事は「騒音や排ガスが出ない電気バスは、温泉街の渋滞緩和や交通安全にも役立つ」と話す。エコ温泉〟の魅力向上に向けた手応えを感じている。

生活用水を活用して始めた小水力発電所
生活用水を活用して始めた小水力発電所

 

電気バスに充電するプロジェクト担当者
電気バスに充電するプロジェクト担当者

 

 同プロジェクトは14年から、温泉街を流れる生活用水を利用した小水力発電も始めた。発電した電力は電気バスのエネルギーや、公共施設の街灯に供給している。地域資源を生かした電力の地産地消の試みは、新たな地域モデルとして自治体からも注目され、年間1千人規模の視察者が訪れるようになった。
 ▽人を呼び込む力に
 宇奈月温泉は、北陸新幹線の開通による波及効果もあり、観光客の伸びが続いている。ただ「全国的に温泉地の来客数は減少傾向にあり、将来をにらんだ地域づくりに取り組む必要がある」(地元関係者)とされる。
 自然エネルギーを生かした取り組みは、温泉街に人を呼び込む力につながる可能性を秘めている。既に、同プロジェクトに関係するベンチャー企業には、IターンやUターンによる若者の就職が目立ち始めたという。
 今後、有識者らと議論を重ね、地熱資源を生かした温泉発電など、さまざまな構想も検討を進めている。大橋代表理事は「雇用創出や新規事業の開拓にも、地域の人たちが主体的に取り組むべきだ」と夢を広げている。                     (共同通信社 勝田哲也)

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