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Tシャツ、浜辺にはためく 「砂浜美術館」(高知県黒潮町、第7回優秀賞)

2017.5.17 15:22
空と砂浜の間で潮風を受けてTシャツがはためく
空と砂浜の間で潮風を受けてTシャツがはためく

 

 高知市から特急列車で1時間40分。太平洋に面した高知県黒潮町。交通の便に恵まれているとはいえない地域で「砂浜美術館」は、町の人口の倍以上の約2万8千人が訪れるユニークなイベントを重ねてきた。
 毎年5月に行う地元の砂浜でロープを張りTシャツを展示する取り組みだ。ハコモノの美術館はないが、美しい砂浜こそが美術館というわけだ。「浜辺で洗濯物を干して、どうするんだといわれたこともあったそうです」と、村上健太郎理事長は振り返る。1989年のスタート以来、名物イベントに育った。
 Tシャツのデザインは全国から公募する。2017年は、30都道府県から約1100枚分が寄せられた。同美術館がTシャツに製作し、専門家の審査を経て、優れたデザインには賞が贈られる。展示して「潮風をたっぷり吸った」(同美術館)Tシャツは、応募した人たちに送っている。
 空と海の青をバックにTシャツがはためく。期間中、出店や砂浜をはだしで走るレースなども行われる。ただ、最大の魅力は朝日や夕日、風の強さや向きで少しずつ表情が変わっていく光景だ。のんびりと一日、砂浜で過ごす人もいるという。
 ▽棚田、草原でも実施
 大きな投資がいらないことも魅力の一つ。棚田や草原など、それぞれの自慢の土地で行えば、地域の良さをアピールできるのも特色だ。注目を集め始め、この取り組みをモデルに九州や東北のほか、モンゴルなど海外でも行われるようになった。同美術館は、開催を希望する地域や団体に講座を開き、展示方法に加え誕生の経緯や考え方を伝え交流も広がっている。

ホエールウオッチングにも取り組む
ホエールウオッチングにも取り組む

 

キルト展を行う松林とらっきょう畑
キルト展を行う松林とらっきょう畑

 

 秋には、砂浜近くの松林でキルト作品の展示会を開いている。周辺のらっきょう畑で花が咲く時期に合わせており、こちらも自然を生かした取り組みだ。近海でのホエールウオッチングも続けている。
 一帯の運動施設の管理・運営を引き受け、スポーツ合宿の誘致に取り組む。ケーブルテレビ番組の製作も請け負うなど、事業は多彩だ。
 ▽新たな担い手も
 スタッフの多くは町外の出身者だ。村上理事長も神奈川県の出身で、大学卒業後、東京都内の会社に勤務していた。Tシャツの展示を知り黒潮町を訪ねて、移住を決心した。砂浜の魅力は、町の新たな担い手を生む原動力にもなっている。
 新たな活動として防災にも取り組む。町と協力して防災学習ノートを作成し、南海トラフ地震の被害想定や、過去に起きた津波や地震の歴史を解説。被害者を出さないために対応を話し合うワークショップを重ねることの重要さを訴える。
 村上理事長は、こうした活動を通じて「自分の町を自分の言葉で語れる子どもたちを育てたい」と話している。                         (共同通信社 伊藤祐三)

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