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約60種類の野菜を出荷 地域農業の新たな柱に 「かほくイタリア野菜研究会」(第7回優秀賞、山形県河北町)

2019.5.23 12:17

 サクランボなどの果実やコメ、肉牛の産地として知られる山形県。ほぼ中央にある河北町で、イタリア料理に使う野菜を栽培、出荷する取り組みが続いている。シェフの要望を受け、さまざまな作物にチャレンジ。日本であまり栽培されていない野菜も多く、試行錯誤を重ねて技術を高め、地域の農業の新たな柱に育てることが目標だ。

 イタリア野菜が栽培される畑。新たな作物にも挑む=2019年5月、山形県河北町
 イタリア野菜が栽培される畑。新たな作物にも挑む=2019年5月、山形県河北町

 ▽さまざまな野菜に挑戦、種類を広げる

 「かほくイタリア野菜研究会」(山形県河北町)が、12人の農家が参加し本格的に取り組みを始めたのは2011年。農業と商工業の連携を模索していた町商工会のメンバーが、隣接する市のイタリアレストランのシェフから「本場と同じ野菜があれば」との声を聞いたことがきっかけだった。ほかでは作っていない作物の栽培に成功すれば、特色を打ち出せる。挑戦がスタートした。
 最初に取り組んだのは、トレヴィーゾと呼ばれる野菜だった。白と紫の鮮やかな色でサラダやリゾットなどに使われるが、栽培方法は独特だ。7月に種をまき育て、11~12月に根っこごと、いったん掘り出す。これを冬の間、水耕栽培し出てきた芽を収穫するという。まとまった文献がなく、メンバーがインターネットなどで栽培方法を検索するなど手探りで取り組んだ。
 さまざまな野菜で挑戦を繰り返し栽培技術を蓄積し、約60種類を出荷できるまでになった。メンバー全員が一定の品質を維持できるように、経験や工夫を持ち寄り、作物ごとにマニュアルも作成してきた。それでも日本で広く作られている野菜と比べると、データが少ないため「場所や年が違うと、同じように育たないこともある」と、同研究会の佐藤淳也事務局長は難しさを話す。

 ▽シェフとの交流が新たな力に

 作物は市場を通さず、出荷できるメニューをレストランなどへ毎週送り、直接注文を受け販売する。シェフらとの取引を通じて作物ごとの人気や、流行の料理に必要な新たな野菜を知ることができる。畑を訪ねたシェフから栽培方法の助言をもらうなど、地道な取り組みで信頼を高めてきた。

 細かな注文に応じて野菜を発送する佐藤淳也かほく野菜研究会事務局長(中央)ら=2019年5月、山形県河北町
 細かな注文に応じて野菜を発送する佐藤淳也かほく野菜研究会事務局長(中央)ら=2019年5月、山形県河北町

 店の規模に応じて、少量でも多種類の注文に応じられるのが特色。18年は県内で約80カ所、県外では首都圏を中心に約110カ所のレストランへ出荷。約20の卸売り会社とも取引し、売り上げは計約1800万円に達した。参加農家は17人に増え、当面の目標は3000万円だ。

 ▽イタリアの農家を見学、自信に
 山形市のレストラン「プルピエ」のシェフ、武田悠さんは同研究会の野菜を使う。「味の濃さが違う。塩やオリーブオイルだけでも十分うまみを感じられる」と評価する。ハムやポーチドエッグとあわせたサラダなどの料理を披露した。

 出荷した野菜はシェフの手でおしゃれな料理に=2019年5月、山形市のレストラン「プルピエ」
 出荷した野菜はシェフの手でおしゃれな料理に=2019年5月、山形市のレストラン「プルピエ」

 農家が、こうした取引先のレストランを訪ね、出荷した野菜の料理を味わう会も開く。参加農家の今田豊志さんは「使ってもらうのを見るとうれしいね」と、やる気を高める。売上高は果樹など主力農産物と比べるとまだ少ないが、牧野聡理事長は「冬も栽培ができ農業のアイテムとして面白い」と話し、経営の柱に育てたいと期待する。
 19年2月には、牧野理事長らがイタリアの農家を訪ね「やってきたことは間違っていないと確認、自信がついた」と手応えを深める。他産地との競合も始まったが、培ってきた技術を生かし取り組みを続けていく。(共同通信 伊藤祐三)

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