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地域再生ただいま活動中!

地方新聞社と共同通信社が設けた「地域再生大賞」の表彰団体は、18年度の第9回までに計450団体に達した。それぞれの課題に向き合い、それぞれの地で活動を続けている表彰団体の今を紹介する。

通りに活気が復活 起業支援など新たな活動も 「沼垂テラス商店街(テラスオフィス)」(新潟市、第6回準大賞)

2019.4.17 9:56

 外階段を登って古びた建物の2階に入ると、壁や床が張り替えられ、内装工事の真っ最中だった。手前には大きなテーブルを置いた共有スペース、奥は仕切って二つの個室を、それぞれ作るという。「コワーキングスペースとして貸し出す計画です」。「沼垂テラス商店街(テラスオフィス)」の田村寛社長は話す。
 時間や日で区切って貸し出し、事務所として使ってもらう狙いだ。下見に来た人も既にいるといい、新たなビジネスが生まれる日が来るかもしれない。桜が満開となった2019年4月。新潟市の同商店街を訪ねてみると、さらなる進化が始まっていた。


 ▽会社設立、地域丸ごと再生

 信濃川河口に近い沼垂地区は古くから交易が盛んで、周囲にはみそや酒の醸造所も立ち並んでいる。1960年代には堀が埋め立てられて、食品などを売る店が並び、買い物客でにぎわった。しかし、大型スーパーなどとの競合が厳しくなり、次第に店舗が閉じられ人通りは消え、シャッター街となっていった。

 近くで料亭を営む田村さんは活気を取り戻そうと2010年、商店街の一角に総菜店をオープン。姉の高岡はつえさんらと14年にテラスオフィスを設立し、一帯の土地と建物を買い取り、地域全体の再生に乗り出した。

 ▽若手経営者が集結、人気スポットに

 オープンしたばかりの喫茶店で若い経営者らと話す田村寛さん(右端)=2019年4月、新潟市
 オープンしたばかりの喫茶店で若い経営者らと話す田村寛さん(右端)=2019年4月、新潟市

 古い建物の良さを残し賃料を抑えたことで、若手の経営者が注目。建築現場の足場に使われた材木で家具を作る工芸家や陶芸家、アクセサリーのデザイナーなどユニークな店舗が次々と集まってきた。レトロな外観の建物に新しいデザインや感覚の商品が並ぶ独特の雰囲気が受けて、人気は上昇。飲食店も加わって約30店舗は全て埋まり、新潟市内の新たな人気スポットとなった。

 

多くの人が訪れ、地域に定着してきた朝市=2019年4月(テラスオフィス提供)
多くの人が訪れ、地域に定着してきた朝市=2019年4月(テラスオフィス提供)

 

 にぎわいを増やそうとイベントも行い、毎月第一日曜日の午前に開く朝市は5年目に入った。毎月テーマを決め、商店街以外の業者にも参加を呼び掛けて開き、多いときには5000人が集まるまでに定着。7月と9月には夜市も開き、木工やキーホルダーを作るワークショップも人気を集めた。

 ▽空き家活用にも取り組み

 古民家を改装したゲストハウスの経営に取り組む高江理絵さん(左端)=2019年4月、新潟市
 古民家を改装したゲストハウスの経営に取り組む高江理絵さん(左端)=2019年4月、新潟市

 

 取り組みは商店街の外にも広がっている。大学の研究者らと合同で半径1キロ前後の周辺地域を調査したところ、約50軒の空き家があることが判明。所有者と協議しながら、事務所や店舗などへの利用を希望する人たちと活用方法を考える活動も始まった。
 成果も実を結び始めている。地元・新潟市出身の高江理絵さんは空き家となっていた古民家を改装し、17年にゲストハウスをオープン。「新潟の良さを伝えたい」と、フェイスブックなどSNSを通じて情報を発信。「外国人客も増やし、地域で異文化体験を進めたい」と、意欲的だ。

 

 商店街の再生に取り組む田村寛さん(右)と高岡はつえさん=2019年4月、新潟市
 商店街の再生に取り組む田村寛さん(右)と高岡はつえさん=2019年4月、新潟市

 

 「沼垂に関心を持ってもらい、移住者を増やしていくことが目標」と田村さんは話し、地域の魅力づくりに力を入れる。若い世代へバトンをつなげていくためにも、地域づくりを事業としてさらに高めていく考えだ。(共同通信 伊藤祐三)

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