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住宅、レストランを運営 地域の魅力づくりに挑む 「ブルーリバー」(広島県三次市、第2回大賞)

2018.11.7 11:50
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 「宿題、終わったよ」―。秋の日の夕方、コミュニティーセンターで行われていた学童保育に、子どもたちの明るい声が響く。広島県三次市の青河町地区。少子化が進んで一時は存続が危ぶまれていた地元の小学校は、子ども連れで移住する人たちが増え、活気を取り戻した。


 ▽家賃抑え、子育て家庭を呼び込む

 中国山地に抱かれた青河町地区で、住民たちが地域づくりを進めようと「ブルーリバー」を立ち上げたのは2002年。専務に就いた岩崎積さんら9人が資金を出し合い、有限会社として出発した。地区には鉄道の駅はなく、高齢化が進む。かつて100人を超えていた小学校の児童は4分の1に減少し、近隣の小学校との統廃合案が浮上した。地元に小学校がなくなれば、地区の活力もなくなってしまう。危機感に押されて、岩崎さんらの取り組みは始まった。

 

 ブルーリバーが手がけた移住者向けの賃貸住宅=2018年10月、広島県三次市
 ブルーリバーが手がけた移住者向けの賃貸住宅=2018年10月、広島県三次市

 

 まず手がけたのは、移住者の誘致だ。自分たちで賃貸用の住宅を建設したり、空き家を改修したりして移住者用の住宅を用意。小学生以下の子どもがいる家庭を対象に、入居を呼びかけた。あわせて設けた太陽光発電による売電収入を活用し、月5万円前後に抑えた家賃も後押しとなり、移住者は人を超えた。賃貸住宅を出てマイホームを建設した家族もおり、地元の小学校は当面、維持できる見通しとなった。

 ▽荒れ地を人気スポットに

 産業づくりにも乗り出した。利用されていなかった約1ヘクタールの土地を整備。廃屋となっていた建物を、手打ちそばなどを提供するレストランに改修し、16年夏にオープンした。周囲の土地には芝生を張り、子どもたちが遊んだり、さまざまなイベントを行ったりする広場にした。住民が出資した別会社が運営し土曜、日曜に営業するレストランには、年間4000人が訪れる人気ぶりだ。

 廃屋を改装してオープンしたレストラン。周囲には芝生の広場も=2018年10月、広島県三次市
 廃屋を改装してオープンしたレストラン。周囲には芝生の広場も=2018年10月、広島県三次市

 

 レストランを設けた建物には、特区指定を受けてどぶろくの醸造施設を併設し、地酒の販売も始めた。荒れ地は多くの人が集まり、雇用を生む場所に生まれ変わった。

 ▽人口減っても維持できる地区を

 「うちの子どもがいないと思ったら、隣のおばあちゃんの家で遊んでいた。そんな近所付き合いが魅力」。06年に広島市から家族で移住した伊藤美幸さんは話す。小規模の学校で子育てをと考えていたときに、不動産業者に紹介された青河町地区を気に入り決めたという。朝、玄関の前に野菜が届けられていたこともあり「地域に受け入れてくれ、暮らしやすい」と笑う。移住当時、小学生だった子ども2人は中学生になった。伊藤さんも自治振興会のスタッフとして働く日々だ。

 

 ともに活動する青河自治振興会のスタッフと岩崎積さん(左端)。移住した伊藤美幸さん(右端)もスタッフだ=2018年10月、広島県三次市
 ともに活動する青河自治振興会のスタッフと岩崎積さん(左端)。移住した伊藤美幸さん(右端)もスタッフだ=2018年10月、広島県三次市

 

 ただ、日本全体の人口減少が進む中で、青河町地区も例外ではない。岩崎さんは「少なくなる人口を取り合っても仕方がない」といい「人が減っても、運営できるまちづくりが大事だ」と話す。新たなまちづくりに挑む一方で、行事や自治会などの役員を減らすなどの見直しも進める。「自分たちで魅力ある地域にしなければ、子どもや孫が住むはずがない」。岩崎さんは力を込めた。(共同通信 伊藤祐三)

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