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地域再生ただいま活動中!

地方新聞社と共同通信社が設けた「地域再生大賞」の表彰団体は、17年度の第8回までに計400団体に達した。それぞれの課題に向き合い、それぞれの地で活動を続けている表彰団体の今を紹介する。

「特別報告」 コミュニティービジネスを地域の柱に 斉藤主税・都岐沙羅パートナーズセンター事務局長(新潟県村上市、第7回大賞)

2018.7.9 13:58
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 「地域再生大賞」の表彰団体は第8回までに計400に達した。各地で、さまざまな活動を続ける団体の中から、第7回大賞を受賞した「都岐沙羅パートナーズセンター」(新潟県村上市)の斉藤主税・事務局長に最近の取り組みを紹介してもらった。

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斉藤主税・都岐沙羅パートナーズセンター事務局長
斉藤主税・都岐沙羅パートナーズセンター事務局長

 

 活動している新潟県・村上地域は県の最北端だ。香川県の8割ほどの面積があり、330の集落が点在している。人口は約6万8千人。全体の高齢化率は35%を超えた。
 1999年から活動を始めた。中間支援組織といわれるが、地域を元気にしようという人や団体、機関などを応援している。当初は行政の支援を受けたが、民設・民営で独自運営をしている。収益は委託事業が大半だ。しかし、半分以上は、こちらから提案した事業になっている。

 ▽四つのキーワードで活動を展開

 取り組みは「集める」「つなぐ」「支える」「広める」の4本柱だ。まず、人材や知恵、技術などを集めて、つなぐ。これはいろんなパターンがある。市民や企業など主体をつなぐこともあれば、農商工連携のように分野をつなぐこともある。都市と農村のように、ほかの地域とつなぐこともある。
 「支える」は市民活動などを支えていくことだ。最後の「広める」は情報発信。SNSを使い、情報に注目してもらう仕掛けつくりが大事だ。「集める」「つなぐ」「支える」「広める」をグルグル回して活動をしている。
 コミュニティービジネスは大きな成果を上げている。例えば、学生向け食堂の運営グループがあった。15年余り前、地域にある大学に学生食堂がなかった。近くのコンビニエンスストアに学生が集まり、田んぼの真ん中にあるのに、全国トップクラスの売り上げを記録したほどだった。グループは安くておいしくボリュームがある食事を考え経営を軌道に乗せ、5年前に閉店した。学生食堂ができて役割を終えたからだ。
 縄を作る会もある。どこで売れるのかと思うかもしれないが、品質の確かさに高級クラフトショップが目を付けた。海外のアパレルメーカーとも取引が始まり、1着100万円を超えるダッフルコートにも採用された。
 支援を続けるポイントは、共感とフォロワーシップだ。どうなるのか分からないものに最初に共感し、頑張りましょうと追随してきた。


 ▽地域づくりは根本から見直しを

 コミュニティービジネスで、いろんな方に頑張ってもらい、地域は着実に元気になった。しかし、村上地域の人口は活動を始めた15年前と比べて1万5千人減った。高齢化率が上昇し、年少人口も半減した。こうした状況に、根本的に地域づくりを変えなくてはと考えている。
 地域づくりは時代に即した進化が必要だ。小規模多機能自治といわれるが、住民活動ではなく住民事業、つまり、コミュニティービジネスが基本となる。行政からお金をもらって何かをやるのではなく、自ら生み出す。それで運営費をまかなう考え方が必要で、経済を含めて住民自治に落とし込まないといけない。私たちはこの段階に入った。
 分野を横断した複数機能も重要だ。足し算ではなくかけ算で考えようと伝え、実践している。人口が減る中で、接点がなかったものを結びつけることだ。水道の検針業務を住民がやることで、収入を得て見守りをするという例もある。
 ただ、なかなか地域の方々に危機感がない。今は困っていないからだ。しかし、今から準備を始めないと間に合わないと考えている。そのために、現状を可視化する取り組みをお手伝いしている。地域では年齢に応じ役割が割り振られる。人口構成や見通しを示し、今の状況を維持できますかと投げかけている。

 
 気軽に話し合える場にとカフェを運営。さまざまな人が出入りする=2017年7月、新潟県村上市(都岐沙羅パートナーズセンター提供)
 気軽に話し合える場にとカフェを運営。さまざまな人が出入りする=2017年7月、新潟県村上市(都岐沙羅パートナーズセンター提供)

 


 ▽アンケートで地域の現状を可視化

 地域のニーズをくみ上げるため、中学生以上の全住民アンケートも行っている。世帯単位の調査は世帯主が答えるため、女性や若い人の意向は反映されにくいためだ。2017年度に市内8地区で約1万通を配り、約8千通を回収できた。
 調査では、いろんなことが見えてきた。例えば農業従事者の年齢構成が分かった。60代、70代が圧倒的で、20年後の農地は大丈夫ですかと投げかけている。地域活動では、関心はあるが参加できない人が多いことが分かった。つまり、参加のやり方が問題だということになる。

 地域の取り組みを発表する自慢大会。ユニークなアイデアが飛び出す=2018年2月、新潟県村上市(都岐沙羅パートナーズセンター提供)
 地域の取り組みを発表する自慢大会。ユニークなアイデアが飛び出す=2018年2月、新潟県村上市(都岐沙羅パートナーズセンター提供)

 

 自慢大会と名付け、地域の取り組みの発表会をしている。廃校になった小学校の校歌に健康体操の振り付けをし、校歌の保存と介護予防プログラムを両立する取り組みが出された。余ったイベントのポスターで紙バッグを作り、地域のPRと介護予防とする活動もあった。独自の取り組みを地域が考えている。
 こうした取り組みをもっと広めたい。ただ、自治だから、地域の方々が考えて実行することが大事。その後押しをしたい。お金も自分たちで回し事業を進めることが大事だ。こうしたコミュニティービジネスを自治に結びつけて、厳しい状況を乗り越えていきたい。(共同通信 伊藤祐三)

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