【5145】ハッピーどぶろく 雄町 まぁまぁ農園【滋賀県】

2023年03月25日
酒蛙酒蛙
滋賀県長浜市 ハッピー太郎醸造所
滋賀県長浜市 ハッピー太郎醸造所

【N居酒屋にて 全10回の④】

 前回、山の会の仲間3人の案内で、初めて訪れたN居酒屋。酒の、ユニークな品揃えが、わたくしの心をわしづかみにした。わたくしが飲んでいない酒がまだまだあるようだったので、間を置かず再度、山の会の仲間とともに訪れた。粋筋の言い方をすれば“裏を返す”だ。

「春心」「多賀秋の詩」「ぷくぷく醸造のホップどぶろく」と飲み進め、次に店主が繰り出したのは「ハッピーどぶろく 雄町 まぁまぁ農園」だった。直前の「ホップどぶろく」同様、醪(もろみ)を濾(こ)さない「どぶろく」だ。

 清酒(日本酒)の定義は、①コメを使う ➁濾す。この2点。今回のお酒は濾していないので、清酒(日本酒)ではなく、「その他の醸造酒」に分類される。

 このような、日本酒に端を発しながらも日本酒ではない醸造酒は「クラフトSAKE」といわれ、いま、大旋風を巻き起こしているとのこと。「dancyu」2023年3月号は「クラフトSAKE」を取り上げ、この「「ハッピーどぶろく」も紹介している。

 それによると、「ハッピーどぶろく」は、「“ネオ”どぶろくの星」と評されている存在で、麹づくりに最大の特長があるとのこと。「dancyu」2023年3月号は、代表の池島幸太郎さんとこの酒の特長について、以下のように説明している。

「農業、酒蔵での12年の蔵人生活の後、“糀屋”として起業した経歴の持ち主。工芸品のように精緻な清酒麹の価値を心得た上で、今は大らかで足腰の強い完熟麹を使い、酒造りに熱中する。モットーは『発酵でつなぐしあわせ』。自家製の甘酒を発酵途上のもろみに加える、糀職人ならではの仕込みがベース。甘酒の懐かしさを感じる甘味に白麹由来のキュートな酸、シュワシュワの発泡感が溶け合う三位一体がハッピー流どぶろくの本領だ」

 さて、いただいてみる。グラスに、どろどろとしたオリが強い粘性とともに注がれたことに仰天。注がれる、というより、オリがグラスに“落ちて来る”という表現の方が適切だ。

 E 「甘みが強い」
 S 「『ぷくぷく醸造』のどぶろくよりお酒っぽい」
 酒蛙「同感。『ぷくぷく醸造』より日本酒を感じる」
 店主「正統派のどぶろくですね」
 酒蛙「ガスが舌先をチリチリ刺激する。マジに、酒粕を溶いて飲んでいるようなイメージだ」
 E 「マッコリみたい」
 店主「炭酸で割ればいい」

 店主の提案で、炭酸で割ってみる。

 酒蛙「おおおおっ、爽やかな味わい」
 E 「本当だ!」
 酒蛙「炭酸を入れないときは酸を感じなかったが、炭酸を入れたら、酸を感じるようになってきた。これは良い!」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「奈良『まぁまぁ農園』無肥料無農薬・雄町。三輪山麓の箸墓古墳の側の田んぼで7粒の種籾から増やし、乾田苗代、一本手植え、天日干し。直播60日苗の力強さたるや草取りがいらないほど。そのお米全てを溶かし切るため、全量米糀甘酒にしてからもろみに仕込み、どこまでも伸びやかなどぶろくに仕立てました」

 裏ラベルのスペック表示は「仕込みNo.017、製法 クエン酸糀甘酒酛5段全量甘酒仕込み、原料米 まぁまぁ農園 雄町(奈良県桜井市箸中)、品目 その他の醸造酒、原材料名 米麹(国産米)米(国産)、アルコール分13%、製造年月 R4/12、製造者 池島幸太郎」

 表ラベルの切り絵について、裏ラベルは、作者と作品名を「早川鉄兵『田んぼの護り神・雄狐と稲穂』」と紹介している。