【5143】多賀秋の詩 純米(たがあきのうた)【滋賀県】


【N居酒屋にて 全10回の➁】
前回、山の会の仲間3人の案内で、初めて訪れたN居酒屋。酒の、ユニークな品揃えが、わたくしの心をわしづかみにした。わたくしが飲んでいない酒がまだまだあるようだったので、間を置かず再度、山の会の仲間とともに訪れた。粋筋の言い方をすれば“裏を返す”だ。
トップバッターは「春心 酵母無添加 生酛純米×酒米五百万石 生酒」。続いていただいたのはメンバーのEが提供してくれた「多賀秋の詩 純米」だった。Eは飲み会があるたびに、わたくしが飲んだことがない蔵の酒を探して提供してくれる。ありがたい、感謝感激だ。飲んだことがある酒蔵の数が1200を超えると、なかなか初蔵に出会えない。そんな折の初蔵酒。感謝の気持ちを込めていただく。まずは冷酒で。
S 「いい香り。酸がある香り」
E 「飲みやすい。淡麗」
酒蛙「ふくよかで丸い口当たり。香りほのか」
店主「チョコレート系のビターな香味」
酒蛙「まろやかな旨みがけっこう出ており、酸もある。余韻は苦み。非常にオーソドックスなお酒だ。安定感がある。キレも良い。飲み飽きしないタイプなので、食中酒に最適だ。この酒、かなりいいぞ!」
S 「飲みやすい」
店主「いいお酒です」
酒蛙「クラシックタイプのミディアムボディー酒。あるいは醇酒」
冷酒でいただいてみて、燗上がりしそうな予感がしたので、店主に燗酒をつけてもらう。約60℃の飛びっきり燗。
酒蛙「おっ、甘みがずいぶん出てくる。まろやかな口当たり。これは旨いっ!!!」
S 「飲みやすい。燗の方が良い」
酒蛙「温度が40℃くらいに下がってきたら、酸と辛みが出てきた。温度帯によって、味の変化を楽しめる。これはいい」
店主「ビターが出て、辛みは控え目。美味しい」
蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。
「このたび、純米酒『多賀秋の詩』が ワイングラスでおいしい日本酒アワード2022 メイン部門で金賞に輝きました。ワイングラスに注いで香を楽しみつつ、秋の詩特有の旨味を味わってください。
地元の農家さんとともに造った純米酒です。純米酒の豊かな味わいと落ち着いた香りをお楽しみください。お燗でも、冷やしても美味しくお召し上がりいただけます」
瓶のラベルのスペック表示は「近江米多賀町産『秋の詩』100%使用、アルコール分16度以上17度未満、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合70%、製造年月4.12」。
使用米の「秋の詩」は滋賀県農業総合センター農業試験場が1990年、母「吟おうみ」と父「コシヒカリ」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。1998年に命名、2001年に種苗法登録された主食用米。
ラべルに田園風景の絵があしらわれている。蔵のホームページは「小さなラベルにもこんなストーリーがあります」と題し、この絵について、以下のように説明している。
「秋の詩ラベル『純米酒 多賀秋の詩』のラベルは、発売当時、多賀町立博物館の学芸員をなさっていた金尾滋史さん(現 県立琵琶湖博物館 主任学芸員)にお願いしました。杉坂山、芹川の雄大な自然をバックに 豊かに実った稲穂の上をペアの赤とんぼ(秋津島)が楽しそうに舞います。この地の自然を大切にしたいという願いが1枚のラベルに込められています」