【5063】上喜元 特別純米 からくち ぷらす12(じょうきげん)【山形県】


【S蕎麦屋にて 全4回の③】
S蕎麦屋は、かけそばが絶品なうえ、蕎麦屋にしては置いている酒の種類が多い。蕎麦好き&酒好きのわたくしとしては、こたえられないシチュエーション。「新しいお酒が入りましたよ。いらっしゃい」と連絡が来たので、すみやかに暖簾をくぐった。
「七本鎗」「鍋島」と飲み進め、次にいただいたのは「上喜元 特別純米 からくち ぷらす12」だった。この酒は以前、二男から父の日プレゼントとしてもらい、当連載【131】で紹介済み。しかし、あれから13年もたったので、再度取り上げることにする。
「上喜元」は飲む機会が多い酒で、当連載でこれまで、19種類を取り上げている。派手さはないが、しっかりした味わいの堅実な酒、という印象で、好感を持っている銘柄だ。さて、今回のお酒をいただいてみる。
上立ち香、含み香ともに果実香がほのか。日本酒度が+12という“超辛口酒”なのに、やわらかな口当たり。ふくよか感もある。味わいは、まず旨みを感じ、次に酸が来る。そして中盤から余韻にかけては辛み。キレが良い。しかし、ドライなだけで味のしない超辛口酒とは違い、味がしっかりとしている辛口。また、+12ほどの超辛口にはおもえなかった。これは、旨みが出ているので、そう感じたのだとおもう。四字熟語だと芳醇辛口か。これは旨い。酸と辛みが出ているので飲み飽きしないタイプ。食中酒や毎日の晩酌酒に最適だ。クラシックタイプのミディアムボディー酒。あるいは醇酒。
瓶のラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、アルコール分16度、精米歩合55%、製造年月22.4」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。
酒名「上喜元」の由来は、「日本の名酒事典」によると「上質な喜びを生む源になるという意味」と説明している。