【5035】ヤマサン正宗 純米 平成27酒造【島根県】


【B居酒屋にて 全6回の④】
酒友から「今さら聞けない日本酒講座の個人授業をしてほしい」と頼まれ、B居酒屋へ。日本酒歴が長い酒友だが、生酛とは? 山廃とは? 酒母とは? など知っているようで説明するとなるとできない言葉が多い、という。もどかしい酒友の気持ちはよく分かる。ということで、喜んで引き受けることにした。個人授業といってももちろんワリカンだ。
「よこやま」「あべ」「白岳仙」と飲み進め、次にいただいたのは「ヤマサン正宗 純米 平成27酒造」だった。「ヤマサン正宗」は当連載でこれまで、8種類を取り上げており、うち6がこのB居酒屋でいただいたもの。この店の経営者はよっぽどこのお酒が好きなんだろうな。
グラスにお酒を注いだら、お酒が黄色に色づいているのが分かる。
仲居さん「平成27酒造年度のお酒ですって!」
酒蛙「うわっ、7年古酒だああ!」
酒友「すごいかもしれない」
仲居さん「マリアージュは、いぶりがっこ(秋田県の郷土料理。大根の燻製)に合う。古酒なのにキレが良い」
酒友、酒蛙「上立ち香は、まさしく古酒香」
酒蛙「含み香も古酒香。旨みがあまり感じられず、シャープで、超ドライの辛口酒。たしかにキレが非常に良い」
酒友「このお酒、辛い」
酒蛙「酸は遅れてやってくるね。適度な酸。甘みや旨みがすくなく、香味は古酒香が支配している」
酒友「若干、酸がある」
店主「このお酒、枯れていますね」
酒蛙「枯れているって表現、分かる、分かる。クラシックタイプのライトボディー酒。あるいは爽酒的熟酒」
瓶の裏ラベルはこの酒を「島根県産の飯米を主に使用した純米です。特に燗がおすすめ。熟成により淡いやまぶき色です」と紹介している。蔵のホームページでも「熱燗用向けに造りました」と紹介している。燗酒を飲まず、失敗した。飲む前にちゃんと裏ラベルを読んでおけば燗酒をいただいたのに。
裏ラベルのスペック表示は「アルコール分 15度、原材料名 米(島根県産)米こうじ(島根県産米)、精米歩合75%、酵母 7号系、製造年月20.12」
酒名「ヤマサン正宗」の「ヤマサン」の由来について、蔵のホームページは以前、以下のように説明していた。「登録商標の『ヤマサン』は、屋号の『三分(歩)市屋』(さん・ぶ・いち・や)からきたと言われています。弊社の瓦にも刻印されています」
ホームページはリニューアルされ、今は酒名について以下のように説明している。「ヤマサン正宗の『サン』は『三方よし』からきています。『三方よし』は、売り手よし、買い手よし、世間よしを謳った商人の哲学です。飲み手=買い手、私たち製造業者や小売店、飲食店など、酒を生業とする売り手、そして米の生産者である農家、この三者にとって三方よしとなるよう心掛けてきました」