【4976】久米桜 十風五雨(くめざくら じゅうふうごう)【鳥取県】

2022年12月05日
酒蛙酒蛙
鳥取県西伯郡伯者町 久米桜酒造
鳥取県西伯郡伯者町 久米桜酒造

【S蕎麦屋にて 全4回の③】

 S蕎麦屋は、かけそばが絶品なうえ、蕎麦屋にしては置いている酒の種類が多い。蕎麦好き&酒好きのわたくしとしては、こたえられないシチュエーション。「新しいお酒が入りましたよ。いらっしゃい」と連絡が来たので、すみやかに暖簾をくぐった。

 まず「吾有事」を2種類飲んだあとにいただいたのは「久米桜 十風五雨」だった。久米桜酒造のお酒は当連載でこれまで2種類を取り上げている。鳥取県に遊びに行ったときに飲んだり買ったりしたもので、地域に流通しているお酒、という印象を強く持った。

 さて、今回のお酒。グラスに注がれたお酒は黄金色をしている。R2BY(2020年7月~2021年6月の間に醸した酒、という意味)で、こんなにも黄金色になるのだろうか? ハテナマークが頭を駆け巡る。

 上立ち香はレトロ感のある香り。熟成香的香り。含み香は、熟成香的紹興酒的カラメル的穀類的香りが、非常に香ばしい。さっぱり、すっきりとした口当たり。甘みをすこし感じ、すぐ辛みが来る。非常にキレが良い。そして、ひと呼吸を置いてから酸が来る。全くもって古酒の味わいだ。たった2年くらいで、こうも古酒になるのだろうか。すごい、とそのときにおもったが、あとから冷静に考えてみたら、このお酒は仕込んでから瓶詰めまでの間、“常温熟成”させたお酒ではないだろうか、とのおもいに至った(違っているかもしれないが)。

 かなり辛みを感じるが、酒度が+5.8とはびっくり。+10くらいの辛みに感じる。また、酸度はスペック表示の2.5ほどには感じない。せいぜい1.7くらいの印象だ。クラシックタイプのお酒。モダンタイプのお酒が多いいま、このような“クラシックタイプ真正面”のお酒を飲むと、新鮮に感じる。

 次に燗酒にしていただいてみる。温度は45℃を指定する。非常にすっきりとした口当たり。まず辛みが来る。かなり辛い。マジ辛い。辛みは酸を伴う。冷酒とは全然違う味わい。キレが良い。古酒香が香ばしい。古酒香は、冷酒のときより燗酒の方が、わたくしにはなじむ。ゆるゆると長く飲んでいられる燗酒。冷酒もいいが、燗酒も良いお酒だった。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(鳥取県産)米麹(鳥取県産米)、原料米 鳥取県八郷産 山田錦100%使用、精米歩合70%、アルコール分15度、日本酒度+5.8、酸度2.4、R2BY、製造年月2022.01」。

 特定名称の区分は表示していないが、酒屋さんのホームページを見ると、この酒は「純米酒」とのこと。なぜ、酒屋さんへのリリース資料で「純米酒」とし、ラベルには表示しないのだろうか???

 酒名副題の「十風五雨」の意味について、goo辞書は「十日に一度風が吹き、五日に一度雨が降る。農業に最適な気候のこと。農作物の生育にとって順調な天候のこと。また、万事、平穏なこと」と説明している。

 この蔵の主銘柄と蔵名「久米桜」の由来について、コトバンクは、「酒名は、久米城と呼ばれた米子城址に咲く桜の花に由来」と説明している。

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