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【4610】裏春鹿 無圧搾り 純米 生原酒(うらはるしか)【奈良県】

2021.8.5 23:44
奈良県奈良市 今西清兵衛商店
奈良県奈良市 今西清兵衛商店

【B居酒屋にて 全6回の④】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。コロナで大苦戦を強いられている様子だが、飲み手としては、すこしでも支援になるよう定期的に通うことしかできない。早くコロナ禍が過ぎ去り、にぎわいを取り戻してもらいたい、と切に願う。

 今回は、酒友Yと二人で暖簾をくぐった。異動が決まったYと一緒にB居酒屋で飲むのは、これが最後。「鶴齢」「大那 純米大吟醸」「大那 超辛口 純米」と飲み進め、4番目に続いていただいたのは、「裏春鹿 無圧搾り 純米 生原酒」だった。

 今西清兵衛商店のお酒は当連載で6種類を取り上げている。その中でも「春鹿 超辛口 純米」(当連載【349】)は、辛口の定番酒として、全国的な人気酒だ。わたくしも、「春鹿」といえば、この酒をイメージするくらい、強い印象を持っている。今回のお酒はどうか、「裏」なので、警戒しながらいただいてみる。

 酒蛙「香りはほのか。旨みたっぷり」
 Y 「旨いんだけど甘い」
 酒蛙「たしかにそうだけど、後味に辛みもある。でも、やっぱり甘いね。かなり甘い。含み香が樽香のように感じる」
 Y 「平らな感じ」
 仲居さん「マスカットを食べた最後に皮をしゃぶっているニュアンスがどこかにある」
 Y、酒蛙「おおっ、そのコメント、分かるような気がする。酸と甘があいまってジューシー感がある」
 酒蛙「『春鹿』といえば、『春鹿 超辛口 純米』が代名詞的存在だが、その酒とは真逆の濃醇甘口的な味わいだ。この蔵は懐が深いなあ。すごい」

 瓶のラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合70%、アルコール分18度、製造年月21.4」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 ところで、この酒は、なぜ「裏」なのだろう。近年、「裏」を名乗る地酒が急に増えてきた感がある。その多くは、「責め対策」だ。醪(もろみ)を搾るとき、まず自重で流れてくる「荒走り」、中間で一番美味しいとされる「中取り」、そして最後に酒粕寸前状態になったものに強い圧力を加え搾り出す「責め」の3段階が知られている。問題は「責め」の部分で、旨みが少ないのが難点。これでは売りにくいので、「荒走り」や「中取り」とブレンドし「裏」として売り出すケースが多い。「裏」は珍奇さから購買意欲を刺激する。これが、「裏」流行の実態だ。

 ただ、今回の「裏春鹿」の「裏」の意味が分からない。地酒専門店「地酒の奥広屋」(大阪府寝屋川市)のサイトは、この酒の「裏」の意味を以下のように説明している。

「今西清兵衛商店が特別限定品として、ごく僅かのみの生産。そして限られた酒販店にのみリリースする丹精込めて醸された入魂のお酒。それがこの『ウラ春鹿シリーズ』です」。数量限定のレアものだから「裏」をつけた、というように解釈される文章だ。これには合点がいかない。数量限定のレアものならば、人生の裏街道を行くような名ではなく、燦々とした訴求力のあるネーミングにすればいいのに、とおもう。

「春鹿」という酒名について、蔵のホームページは「酒名は、春日大社とその神獣である鹿から春鹿と名付けました」と説明している。

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