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【3972】高尾の天狗 純米吟醸 ひやおろし 生貯蔵原酒(たかおのてんぐ)【長野県・東京都】

2019.9.22 21:00
長野県諏訪市 舞姫(製造者)
長野県諏訪市 舞姫(製造者)

【B居酒屋にて 全4回の②】

 当連載「日本酒津々浦々」は、原則として同じ酒を2回載せることはしていない。ごく例外的に2回載せたものが2種類ほどある程度だ。このため常日ごろ、飲んだことがない酒を求めている。このB居酒屋は、わたくしが飲んだことがない酒が冷蔵庫に入っていることが多いので、必然的にしばしば“取材”に訪れることになる。

 まず最初に選んだのは「花ノ文 特別純米 原酒 雄町 瓶火入れ」。続いていただいたのは「高尾の天狗 純米吟醸 ひやおろし 生貯蔵原酒」だった。

 この酒は、NPO法人はちぷろ(東京都八王子市元横山町1-17-10)が企画したもので、長野県諏訪市の舞姫が製造した。「はちぷろ」については、内閣府のホームページが、以下のように紹介している。

「この法人は、八王子市高月町の農業を中心に、豊かな営農環境を保全し、地域文化を次世代に承継することで、地域住民のみならず広く市民の利益の増進に寄与するため、地域住民・農家・酒蔵・酒販店の社員・地域企業が中心となり、地域の『大学』『企業』『市民』とともに、『日本酒をはじめとした農業生産物の商品開発』『農業等の地域産業の振興』『地域経済の活性化』『地域の人材育成』『雇用の機会の創出』に資する活動を通じ、地域の活力向上を図ることを目的とする」

 この活動の一環として、このお酒ができた、というわけだ。ラベルには「全量八王子産米使用」「題字 大本山高尾山薬王院第32世貫主大山隆玄猊下」と誇らしげに書かれている。

 また、瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「純米吟醸酒『高尾の天狗』は、2014年から生産開始し、八王子のまちづくりのため、地元農家と酒販店とタッグを組み、作りあげている、100%東京八王子産米のこだわりの逸品です。ラベルの文字『高尾の天狗』は、高尾山薬王院第32世大山隆玄御貫主に『開運』を祈願し、揮毫して頂きました。
『ひやおろし』とは、気温がほぼ一定な酒蔵で夏を越し熟成させたお酒のことをいいます。高尾の天狗ひやおろしは、香りは穏やかで味わいがしっかりし、ふくよかな旨味がのっています。冷や、ぬる燗でどうぞ」

 さて、いただいてみる。さらりとした口当たりで、甘みと旨みを感じる。とくに旨みがたっぷり。和梨のような複雑で大人しい、ほのかな含み香。中盤から余韻にかけて、辛みが出てきて、この辛みが長く続く。余韻には、辛みに加えて酸と苦みも混じる。飲んでいると、次第に酸がくっきりと感じられるようになる。最初のうちは、けっこうさらりとした口当たりだとおもっていたが、次第にしっかりとした味わいに変わっていく。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合55%、アルコール分17度、製造年月19.8」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 気になるのは「ひやおろし」と「生貯蔵」の両方をうたっていること。「ひやおろし」は、醸したときに火入れ(麹菌、酵母の活動を停止させる作業)をし、一夏を越したあと、火入れをしないで瓶詰めするお酒。すなわち、「生詰め」である。一方、「生貯蔵」は醸したときに火入れをしないで一夏を越し、瓶詰めするときに火入れをする造り方。だから、「ひやおろし」と「生貯蔵」の両方をうたうのは矛盾する。「ひやおろし」か「生貯蔵」か、どちらかが間違っている、とおもわれる。

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