新電力切り替えのデメリット
監修者
監修者江田 健二RAUL株式会社/代表取締役

「環境・エネルギーに関する情報を客観的にわかりやすく広くつたえること」「デジタルテクノロジーと環境・エネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること」を目的に執筆/講演活動などを実施。著書に電気・ガスはどこから来るのか?エネルギー供給のしくみをさぐろう』『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』など。慶應義塾大学経済学部卒業→東京大学 Executive Management Program(EMP)修了→アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画→RAUL株式会社を設立。 主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事。一般社団法人サステナビリティコミュニケーション協会理事。環境省地域再省蓄エネサービスイノベーション促進会委員(2019年)等

電気代の高騰によって、新電力への切り替えを検討する人は多いでしょう。

しかし、新電力会社の倒産や事業撤退などのニュースを見かけることもあり、新電力への切り替えをためらっている人が多いのも事実です。

今回は新電力会社で考えられる主なデメリット5つを徹底解説し、できるだけデメリットにならないよう注意する点なども解説していきます。

新電力はデメリットばかりで検討しても仕方ないと決めつけず、デメリットをよく理解した上で、お得にならないか検討してみましょう。

まずは5つのデメリットを徹底解説します!
※昨今のウクライナ情勢や円安などの影響で、全国的に電気料金が高騰しています。新電力会社に乗り換えても、お得にならない可能性があります。また、当サイトのシミュレーションには「燃料費調整費」と「再エネ賦課金」を含みません。より、正確な料金シミュレーションは記事内で紹介している公式サイトでご確認ください。

新電力会社のデメリット①:絶対に安くなるとは限らない

デメリットの確認

新電力会社に切り替えるメリットとして挙げられるのが「電気料金が安くなる可能性がある」というところですが、デメリットとして「安くなるとは限らない」ということも挙げられます。

 電気料金自体は地方電力会社と同等で、ポイント還元などのサービスで差別化している新電力も増えてきています。

新電力が地域電力会社よりも安くなる可能性があるのは、あくまで小売部門だけの契約であり、設備費や人件費を削減できていること、料金プランの豊富さで最適なプランを選べるというところが大きいからです。

場合によっては、様々な原因で新電力に切り替えても電気代が下がらなかったり、場合によっては上がってしまう可能性すらあります。

適切なプランを選べていない

新電力の多くは複数のプランがあり、自分の電気利用状況に合っている適切なプランを設定することで最大限お得になります。

 逆に言えば、プラン選びを慎重に行わないと思ったほどお得にならない可能性があるということです。

単純に新電力に切り替えれば電気代が安くなると言われて契約をしたものの、あまり細かく考えずにプランを選んでしまった場合に起き得るデメリットです。

新電力の切り替えの際には、最低でも直近の電気代や電力使用量を考慮するようにしましょう。

自身の使用状況に合ったプランを選択すれば、従来の電気料金よりも安くなる可能性が上がります。

季節によって電気代もかなり変わるので、過去1年の電気代や使用状況がわかると見極めやすくなります。

切り替えたタイミングで電気代そのものが上がってしまう

価格の上昇

電気代が少しでも安くなると聞いて新電力に切り替えたのに、いざ電気代の請求書を見たら安くなっていないというトラブルはしばしば耳にするトラブルです。

 場合によっては、従来の電力会社よりも高くなってしまうというトラブルもありました。

電気代が安くならないというのにはいくつか原因が考えられ、一つは発電のための燃料価格が高騰して、電気代そのものが値上がりしてしまったパターンです。

これは切り替えていなければ更に電気代が上がっていたかもしれないとも考えられます。

もう一つは、切り替える前まではエアコンなどを使っていなかったのに、切り替え月になってからエアコンを使うようになって上昇してしまったという可能性もあるでしょう。

毎年電気代は上がり続けているので、先月や去年と比較しただけでは新電力に切り替えたのに安くなっていないとは判断できません。

新電力会社のデメリット②:契約できない可能性がある

契約書を交わす

新電力会社と契約をして電気代を安くしたいと考えていても、場合によっては契約したい新電力会社と契約できないという可能性もあります。

せっかくお得なプランのある、良さそうな新電力会社を見つけても契約できなければ意味がありません。新電力会社を調べる際はエリアもしっかりと確認しておきましょう。

 すべての新電力会社が全国対応している訳ではないので、住んでいる地域によっては対応していない新電力会社もあります。

ただし、新電力会社自体は令和4年の10月31日現在で733事業者が登録されており、探してみると似たようなプランが見つかる可能性は十分にあります。

また、集合住宅などの場合は建物単位でしか契約を切り替えられないこともあるため、マンションやアパートの場合はそもそも新電力会社に切り替えられない場合もケースもありますので、事前に確認しておきましょう。

引っ越しの際に確認しておかないと、あとから対応することは難しいですね。

新電力会社のデメリット③:市場連動型プランのリスクがある

新電力会社の電気代が暴騰したニュースを見たことがある人は多いと思いますが、この多くは市場連動型プランでのケースでした。

 市場連動型プランを扱っている新電力会社はさほど多くはないのですが、注意して確認しておく必要はあります。

そもそも市場連動型プラン自体がわかっていないと、どういったデメリットか理解しづらいところもあるため、市場連動型プラン自体について詳しく解説します。

市場連動型プランとは

上下する電気代を見極める

市場連動型プランは簡単に言ってしまえば、電気が売買されている市場での値段に依存して電気料金の単価が上下するプランです。

そのため、市場価格が安くなれば電気代も安くなりますが、逆に市場価格が上がれば電気代も高くなるのが特徴です。

 この単価は常に変動を続けるので、電気が大量に使われる時間は使用を控え、深夜など電気があまり使われない時間に活動できる人は恩恵を受けやすくなります。

ただし、先述の通り、市場連動型プランを利用していた際に電力市場の価格が暴騰してしまい桁違いと思ってしまうような電気料金の請求が届いてしまったというケースがありました。

電気の利用中に今現在の市場価格を把握してコントロールすることが難しく、請求書が届いて初めて電気料金を知って驚愕するというパターンがニュースとして取り上げられていました。

一長一短なプランではありますが、そのデメリットが極端に大きく発生してしまったトラブルです。

市場連動型プランのある新電力会社

現在でもダイレクトパワーや、テラエナジーなどの一部の新電力会社で市場連動型プランは提供されています

 市場連動型プランはリスクもありますが、リターンもあるプランなので、自身で納得した上での契約であれば問題はありません。

また一部の新電力会社では電気料金の一部が市場価格と連動する場合もあるので、新電力会社選びや、プラン選びの際には電気料金のシステムについてしっかりと内容を理解しておく必要があります。

新電力会社は会社やプランによって、料金の計算方法が大きく異なります。極端に高額な請求になってしまったケースが発生したため新電力は危ないという話が広がりましたが、実際は契約通りであったともいえます。

リスクとリターンを考慮して適切なプランを選ぶのは、新電力会社選びで最も重要です。

新電力会社のデメリット④:乗り換えでトラブルが起きやすい

契約の説明と確認

ある日突然、新電力会社の営業が自宅に来たという経験がある方も少なくはないと思います。

「今よりも絶対に電気代が安くなるから」「乗り換え手続きは簡単ですぐに済む」という話で、よくわからずに契約してしまったケースもあるようです。

 国民生活センターからも電話勧誘や訪問販売による切り替えトラブルが発生しており、慎重に行うようにと注意が出ています。

すべての新電力会社がこのような勧誘を行っている訳ではありませんが、こういった勧誘を行う新電力会社があるためにイメージが悪化している側面も否定できません。

また、こういった強引な勧誘以外でも乗り換えによるトラブルが発生するケースもあります。

出典:電力・ガスの契約に関する相談が多く寄せられています-国民生活センター

安くなると言われたのに安くならなかった

新電力会社のデメリット①でも紹介したように、絶対に安くなるとは限らないという理由でトラブルとなるケースもあります。

特に電話や訪問で直接安くなることを目玉に営業を受けたのに、実際は安くなっておらず、解約しようと思ったら契約の都合で違約金が発生してしまうため解約もしにくいというケースもあります。

 先述の通り、様々な理由で電気代が元々の金額より安くならなかったり、場合によっては想定よりも高くなってしまう場合すらあります。

当然こういったことがあればトラブルになり、新電力に対する不満が溜まる原因ともなります。うかつに契約をせず、十分に検討してから契約を行うようにしましょう。

強引な契約を結ばされてしまった場合は経済産業省電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口に相談してみましょう。

突然電気代が上がった

上がった電気代に頭を抱える女性

こちらも先述の通り、タイミングによってはいつもより電気代が高くなってしまうケースはあります。

また、燃料費の上昇で新電力に限らず、日本の電気代そのものが上がってしまっていることもあり、その場合は新電力に切り替えなければ更に電気料金が上がっていた可能性も考えられます。

 新電力のせいではないとしても、期待していたのに電気代が安くならず、それどころか高くなったと感じてしまうことでトラブルになります。

元の地域電力会社で継続していた場合、いくらになっていたかと比較するのは難しいですが、多くの新電力会社は地域電力会社よりも電気料金が安くなるようなプランを基本としています。

目玉として電気代が安くなるという話で契約する人が多いため、思ったより安くならないことがトラブルになりやすいといえます。

新電力会社のデメリット⑤:撤退・倒産してしまう可能性がある

電力自由化以降、電気やエネルギー以外の業種からも多くの企業が電力小売部門に参入しました。2022年現在でも700社を超える企業が参入しています。

その一方で新電力部門の撤退、新電力会社そのものの倒産、新規の申し込み停止中の新電力会社は60社を超えています。

 現在では一時期ほど撤退や倒産が相次いではいませんが、撤退や倒産する新電力会社は2022年時点でもあります。

せっかく契約したのに、撤退や倒産してしまうリスクがあると気が引けてしまいますが、どのような業界でも事業撤退や倒産はあるので、やむを得ないものともいえます。

撤退や倒産したからといっていきなり電気が使えなくなるということはなく、急な倒産などの場合は地域電力会社から電力が供給されます。

基本的にサービス停止の一か月前には連絡が来るので、万が一撤退や倒産してしまうようであれば別の新電力会社を検討してみましょう。

新電力会社の3つのメリット

新電力会社に切り替えるメリット

ここまで新電力会社のデメリットについて詳しく解説してきました。しかし、同時にデメリットをしっかりと把握した上で新電力会社をうまく選ぶことで、電気料金を抑えられる可能性は十分にあります

新電力会社のメリットもしっかりと把握しておけば、よりお得に電気を使用できるでしょう。

新電力に切り替える主なメリット
  • 電気料金が安くなる可能性がある
  • 新電力会社によってポイント還元やお得な割引がある
  • 環境に配慮したプランにすれば環境改善に貢献できる

基本的には地域電力会社よりお得に電気を使える可能性があるため、乗り換えを検討する人が多いといえます。それぞれについて詳しく解説していきます。

電気料金が安くなる可能性がある

新電力会社のデメリット①と反対の内容になりますが、電気料金が安くなる可能性があるのは事実です。新電力に切り替える一番のメリットはやはり電気料金だともいえます。

 新電力会社も公式サイトでは地域電力会社よりも安くなる可能性があることをアピールしているところが多いです。

地域電力会社と違い、新電力の場合は電力の使用量などを考慮して自分でプランを選べます。使用状況に合った適切なプランを選ぶことで、電気料金の単価が安くなったり、基本料金が安くなる場合もあります。

また、新電力会社によっては地域電力会社よりも数%安くなるようなプランが用意されている場合もあり、デメリットとして安くならない可能性を先に紹介しましたが、安くなる可能性は決して低くはありません

電気料金が安くなる可能性があるというのが新電力会社の一番のメリットですね。

新電力会社によってポイント還元やお得な割引がある

ポイントや割引でお得に電気を使う

ポイント還元や割引はすべての新電力会社にある訳ではありませんが、これらのサービスも新電力会社に切り替えるメリットの一つといえます。

また、新電力会社によってサービスは大きく異なるので、どの新電力会社にするか選ぶ際に重要なポイントともなります。

 地域電力会社よりも電気料金が安くなった上に、ポイント還元などのサービスがあることも考えればかなりお得になるといえます。

ポイント還元の場合はどのポイントがつくのかなども重要です。割引に関してはガスとセットで契約することで割引が発生したりするものもあります。

中には携帯電話の契約とのセット割など、新電力会社のグループ企業の持っているサービスで優待を受けられる場合もあります。

ポイントや割引以外にも特別なオプションに入ることができたり、優待サービスが用意されていることもあります。

環境に配慮したプランにすれば環境改善に貢献できる

新電力会社によっては再生可能エネルギーに力を入れている会社や、自然エネルギーをメインに電力供給を行っている会社もあります。

そのため、従来の地域電力会社では難しい、地球環境に配慮したプランを選んで環境に貢献することも可能です。

 どこの新電力会社にもある訳ではありませんが、環境問題は日本だけに限らない話ですので、少しでも貢献したいという人にはおすすめです。

環境に配慮しているプランだから電気料金が高いということはなく、従来の電気料金と変わらないか安くなる可能性がある状態で、支払った電気料金の一部が再生可能エネルギー事業に寄付されたりするプランもあります。

再生可能エネルギーの普及は世界的な課題ですので、少しでも貢献したいという方におすすめです。

新電力会社に関するよくある質問

新電力はやばいって聞くけど本当?
新電力は日本卸電力取引所から電気を買っているところが多かったのですが、その取引所での価格が暴騰してしまったことがあり、電気代の暴騰や新電力会社の倒産などが起きたことがあります。そのため現在でも不安に思っている人がいるようです。
新電力の電気代が高騰した原因はなんだったの?
原因は様々ですが、現在の日本では火力発電が中心になっているので、その燃料価格の高騰が大きく響いています。寒波や在宅勤務の増加による電気自体の需要増加や、それらを原因とする電気の市場価格暴騰がそのまま電気代に影響しました。
新電力に切り替えただけでどうして電気代が安くなるの?
新電力は利用者と電気の契約を結ぶ小売部門だけの契約で、大規模な施設が必要ではないことなどが理由として挙げられます。他には人件費や管理費の効率化や、細かなプラン設定によって最適化された電気料金で済むことなども理由の一つです。
新電力に切り替えると停電が増えるって本当?
新電力はあくまで電気の小売部門だけの話であり、発電や送電のシステムは一切変わらず、新電力だから停電が多いということはありません。
新電力から東京電力に戻すのは大変?
新電力への切り替えが簡単なように、新電力から東京電力などの地域電力会社に戻すのも簡単です。基本的な手続きは同じですが、契約によっては違約金などが発生してしまうケースもあるので、必ず契約書を確認しましょう。

まとめ

今回は新電力のデメリットについて細かな部分まで詳しく解説しました。

電気料金高騰や新電力会社が倒産・撤退しているニュースや記事をみて不安に感じている人は多いですが、実際は気を付けるべきポイントをしっかりと把握していれば乗り換えた方が安くなる可能性があるのは事実です。

電気料金は新電力会社に限らず上昇傾向にあるので、少しでも安くなる可能性があれば検討だけでもしてみた方が良いでしょう。

今回紹介しているデメリットをしっかりと理解した上で、新電力会社の料金シミュレーションなども行い、十分な検討をした上で新電力会社への切り替えも検討してみましょう。

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