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文化

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【4519】竹鶴 純米(たけつる)【広島県】

2021.3.23 21:10
広島県竹原市 竹鶴酒造
広島県竹原市 竹鶴酒造

【高校同級生からのいただきもの 全7回の⑦完】

 高校時代の同級生と雑談したとき「日本酒をもらってくれないか」と切り出された。彼は趣味の世界ではちょっとした有名人で、その関係で時々、各地の酒が届けられる。が、彼はある特定銘柄の日本酒しか飲まないとのことで、時々届けられるお酒は物置に鎮座し続けているとのこと。「おおっ、いただくとも、いただくとも」。いじましくも二つ返事をしたわたくしは早速彼の家に車で乗り付け、全国の7本をいただいた。

 わたくし1人でいただくのはもったいないので、酒友と2回に分け、なじみのH居酒屋でいただいた。まず、酒友ちーたんと飲んでみた。「寿」(大和蔵酒造)、「東光」「月の輪」「金鳳 松江城」「玉乃光」「幻」と飲み進め、最後7番目にいただいたのは「竹鶴 純米」だった。竹鶴酒造のお酒は当連載でこれまで、4種類を取り上げている。このお酒を取り上げていなかったとは、われながらちょっとした驚きだった。「竹鶴」というと、熟成した超骨太なお酒、という好印象を持っている。さて、今回のお酒はどうか。まずは冷酒でいただいてみる。

 酒蛙「おおっ、熟成香が広がるね」
 ちーたん「美味し~~~いっ!!!」
 酒蛙「後味が辛い」
 ちーたん「すっきりとした口当たり」
 酒蛙「ガツンと来る重厚骨太な酒と予想したが、まったく外れた。意外にもすっきりさっぱりした口当たりで、キレが非常に良い酒だった」
 ちーたん「そうだね。すっきり、さっぱり。付き合いやすい酒だ」
 店主「うん、すっきりしている」
 ちーたん「直前に飲んだ『玉の光』の方が、今回の酒より熟成香が強い」
 酒蛙「そうそう」
 店主「明らかに」
 酒蛙「軽快でびっくりしたよ」
 
 次に、ちろりで燗をつけ、いただいてみた。温度はちょうど40℃。ぬる燗の温度帯だ。

 酒蛙「すっきりとして辛い」
 ちーたん「冷酒と別物だ」
 店主「舌がしびれる」
 酒蛙「すっきり辛口酒。ぬる燗にしたら、旨みが出てきた。酸もいい。辛旨酸酒だ」
 店主「辛みがすげぇぞ! 俺は冷酒の方がいい」
 酒蛙「冷酒のときより辛くなったね」

 その10日後、今度は酒友のY、TUとH居酒屋で飲んでみた。まずは冷酒で。

 酒蛙「さっぱり、すっきりした口当たりで、熟成香が立っている」
 TU「おーーーっ! 水の如しのさっぱり感」
 酒蛙「酸がけっこう出ている」

 次に、ちろりで燗をつけ、いただいてみた。温度はちょうど40℃。ぬる燗の温度帯だ。

 酒蛙「辛い」
 Y 「熟成香が立っている。すんげぇ酸っぱい」
 TU「酸があります。香りはすごくやわらかくなった」
 酒蛙「口当たりはたしかにやわらかくなった。辛みが立ち、キレがものすごく良い。酸もいい」
 TU「後味がお湯みたい。冷酒のときよりふくよかになり、奥行きが出てきた。お燗の方がいい」
 Y 「お燗の方が、いろんな味が出てくる」
 酒蛙「ただ辛いだけでなく、旨みも出て、味幅が広がる」
 TU「酸がすごいなあ」
 酒蛙「晩酌酒に向いている。燗酒だと毎日でも飽きない。飲み飽きしない酒だ」

 これまでいただいてきた「竹鶴」同様、熟成香が立っていた。しかし、重厚骨太な酒というこれまでのイメージとは全く違い、さっぱりすっきりした辛口酒だった。これはかなりの驚きだった。考えてみれば、重厚骨太の酒ばかりだといささか疲れる。飲みやすいこの酒がラインナップにあると、幅が広がる。あらためて竹鶴酒造の懐の深さを知ったおもいがした。また、モダンタイプの酒に慣れていたわたくしの舌をリセットしてくれた酒だった。

 瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分15度以上16度未満、原材米はすべて国産、原材料名 米・米こうじ、精米歩合70%、製造年月2019.1」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 酒名・蔵名「竹鶴」の由来について、日本の名酒事典は以下のように説明している。「享保18(1733)年創業の歴史ある蔵。『小笹屋』という号で製塩業を営んでいたが、あるとき家裏の竹藪に鶴が飛来して巣を作ったことを『古来、松に鶴と聞くも、竹に鶴とは瑞兆なり』と喜んだことに酒名は由来する」

 竹鶴酒造の蔵は、ニッカウイスキーの創始者・竹鶴政孝の実家、という。わたくしは2017年、旅行で竹原市を訪れ、竹鶴酒造の建物を見た(中には入らなかった)。建物の近くには、NHK朝ドラマ「マッサン」(2014年9月29日~2015年3月28日)の主人公、マッサン(竹鶴政孝)とエリー(竹鶴リタ。生名はジェシー・ロバータ・カウン)の像がある。

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