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汐留鉄道倶楽部

鉄道発祥の地、東京・汐留にある共同通信社の記者、カメラマンが書いた鉄道コラムのコーナーです。リニア、新幹線からSL、路面電車まで幅広く取り上げます。鉄道ファンの熱い思いをお届けします。

釜石線のSL銀河 

2017.10.13 11:00
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(上)花巻駅で出発前の様子。このSLは現役時代も主に岩手県で活躍した、(下)15分停車した宮守駅では「宮守ずーっとプチエンジェル」がダンスで乗客をおもてなし
(上)花巻駅で出発前の様子。このSLは現役時代も主に岩手県で活躍した、(下)15分停車した宮守駅では「宮守ずーっとプチエンジェル」がダンスで乗客をおもてなし

 岩手県の花巻と沿岸部の釜石を結ぶJR釜石線に「SL銀河」が走り始めて4年目。筆者は1988年の入社から約3年、同県の盛岡支局に勤務した。思い出の地、岩手でよみがえったSLにようやく乗車する機会を得た。

 午前7時16分発の東北新幹線「はやて111号」で東京駅を出発。車内で「SL銀河」のモチーフとなった花巻市出身、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をあらためて読んだ。銀河鉄道というとSLのイメージが強いが、物語の中にはジョバンニとカムパネルラのこんなやりとりがある。

 「それにこの汽車石炭をたいていないねえ」(ジョバンニ)

 「アルコールか電気だろう」(カムパネルラ)

 北上で普通列車に乗り換え、10時17分に花巻着。SL銀河の出発まで20分しかなく、約40年ぶりに現役復帰した「C58239」や、鮮やかなブルーの車体に星座や動物をちりばめた4両の客車をじっくり見る余裕はない。

 客車は「キハ141」系。北海道で走っていた気動車をリニューアルしたもので、エンジンはそのまま。しかも元々は50系客車にエンジンを取り付けて気動車化したものの再改造、というややこしい車両なのだ。ホームに止まっていてもうなりを上げるディーゼルエンジンの音にはかなりの違和感があったが、SLと力を合わせて勾配を上るためとあってはやむを得ないだろう。

 車内はまずまず埋まっている。家族連れが中心だが、ビールを片手に語らう女性客も。列車は長閑な田園風景をゆっくりと進む。しかし、どうしてもエンジン音や震動が伝わってきて、SL列車ではなくディーゼルカーに乗っている感覚になってしまうのが残念だった。

(上)SLが遠野駅を発車するころは土砂降りになってしまい、残念な写真に、(下)釜石線で1990年に走った「ロマン銀河鉄道」。当時はポケベルでいつ呼び出されるか分からない駆け出しの記者だったが、こっそり遠出してこんな写真を撮っていた
(上)SLが遠野駅を発車するころは土砂降りになってしまい、残念な写真に、(下)釜石線で1990年に走った「ロマン銀河鉄道」。当時はポケベルでいつ呼び出されるか分からない駆け出しの記者だったが、こっそり遠出してこんな写真を撮っていた

 車内を見て回った。各車両のデッキ部分に、宮沢賢治にまつわる展示物や南部鉄器などがあった。最後尾の1号車の一角では10分ほどのプラネタリウムが上映される。「銀河鉄道の夜」のストーリーを女声のナレーションと映像で再現。星空を背景に、物語に出てくるススキ、リンドウ、はくちょう座、そして印象的な文章などが投影され、幻想的な雰囲気が醸し出されて好ましかった。

 11時25分に宮守着。ピンクのポロシャツを着たおばさんたちが歓迎のダンスを披露していた。宮守を発車してほどなく、有名な撮影地でもある「めがね橋」を通過。集まったカメラマンが、こちらに向かって手を振るのが見えた。機関車のすぐ後ろの客車に乗っていたこともあり、2重窓の内側の窓を上げるとSL本来の「シュッ、シュッ」という息遣いがかなりリアルに感じられた。

 小雨の中、12時13分に遠野着。列車は1時間20分近く停車して釜石に向かうが、私は仕事で同日中に函館に行かなければならず、今回のSLの旅はここまでとなった。

 ☆藤戸浩一 遠野駅で発車シーンを撮影し、折り返しの列車を待つ間に駅前食堂で「元祖SLラーメン」を食べた。細麺のちじれ麺で、真っ黒なSLのボディーがのり、動輪はレンコンだった。

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