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【3164】本老の松 山廃仕込み(もとおいのまつ)【長野県】 

2017.12.7 20:41
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長野県長野市 東飯田酒造店
長野県長野市 東飯田酒造店

【H居酒屋にて 全3回の①】

 なじみのH居酒屋店主から連絡が入った。「初蔵酒が入りましたので、飲みに来てください」。わたくしは、全国の全現役蔵の酒を飲むことをめざしており、それを知っている店主が協力してくれているのだ。ありがたい。さっそく暖簾をくぐった。

 初蔵酒とは、長野市・東飯田酒造店の「本老の松 山廃仕込み」だった。見るのも聞くのも初めてのお酒だった。店主いわく「家族3人だけで醸している蔵です」。さて、いただいてみる。まずは冷酒で。

 店主「あ、酸がある。辛いっ!」
 酒蛙「アタックはまろやかで、甘みを感じるけど、すぐに酸が出てきて、そしてすぐ辛みがくる。1秒もかからないうちに味が大きく変化する」
 店主「そう。だいぶ辛い」
 酒蛙「飲み進めていくと、辛みと酸と苦みが味の中心になる。さっぱりした飲み口だが、味わいはしっかりしている」
 店主「うん、味がしっかりしている」
 酒蛙「旨みはあまり出ていないけど、コメの旨みは感じる。酸が出ておりくどくないので飲み飽きしない。酸がいいね」
 店主「これぞ食中酒、だね」
 酒蛙「同感だ」

 このような酒質だとぬる燗が良さそうだ。ちろりでぬる燗をつける。温度はちょうど40℃。

 酒蛙「古樽香を感じる」
 店主「冷酒とは味が変わった」
 酒蛙「酸と苦みが出ている」
 店主「香りは木造校舎的。味が複雑。酸と甘みと辛みがあるけど、味をひとことでは言えない」
 酒蛙「すごく複雑な旨み。いかにも山廃酒だ。ぬる燗いいね。冷酒より良い」

 次に、ちろりで熱燗(50℃)まで温度を上げてみる。

 店主「ぬる燗より熱燗の方がいい」
 酒蛙「酸が出てくる」
 店主「うん、酸は最初から最後までずーっとある。そして辛い。甘みも出てきた」
 酒蛙「さっぱりした酸味酒。甘みが出てきた」

 瓶のラベルは、以下のように山廃仕込みについて説明している。「山廃仕込みとは 昔ながらの酒造りで 自然界の乳酸菌を利用して 純粋酵母をじっくりと育て上げ 長期低温発酵させ 清酒本来の極味を醸し出した 伝統的なお酒です」

 瓶の裏ラベルの表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合65%」「甘辛度 辛口、濃淡度 やや淡」。使用米の品種名が非開示なのは残念だが、蔵のホームページは「原料米 美山錦他」と開示している。

 裏ラベルでは「濃淡度 やや淡」と書かれているが、蔵のホームページは「山廃仕込みという特殊な酒母を使用して濃醇な味わいです」と真逆の説明をしている。じっさいに飲んでみると、「淡」と「濃醇」の中間のようにおもえた。

 酒名の「本老の松」の由来について、コトバンクは「酒名は、能舞台の鏡板や歌舞伎舞踊の背景を彩る老松に由来し、そのめでたさにあやかり命名」と説明している。

酒蛙

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