【4924】西の関 手造り純米(にしのせき)【大分県】

2022年10月06日
酒蛙酒蛙
大分県国東市 萱島酒造
大分県国東市 萱島酒造

【B居酒屋にて 全7回の③】

 B居酒屋は「全国の地酒200種類を常時置いています」がウリだ。1カ月に1回のペースで店を訪れると、日本酒のラインナップはだいぶ変わっているので、当連載「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。今回は、当連載でまだ取り上げたことがないお酒7種類をいただいた。

「もえ姫」「群馬泉」と飲み進め、次にいただいたのは「西の関 手造り純米」だった。この蔵のお酒は、当連載【1671】で「にしのせき ひや」1種類だけを取り上げている。変だなあ、もっと多くの種類の「西の関」を飲んでいたはずなのになあ、とキツネにつままれたおもいだったが、ほどなく分かった。当連載を始める前に、「西の関」を多く飲んでいたのだった。さて、いただいてみる。

 上立ち香・含み香とも、ナッツ的ごはん炊きあがり的カラメル的熟成香が強く感じられる。やわらかな口当たり。甘旨みを感じ、全般的に大人しい味わい。

 カウンター隣席の常連客Kさんが一升瓶を見て「おっ!『西の関』じゃないですか! 私、大分市で勤務したことあるんです。大分で日本酒といえば『西の関』というくらい普及していましたね」と懐かしむ。そして少し飲み「甘みを感じるね」。

 飲み進めて行くと、次第に甘旨みがふくらんでいく。そして、酸も出てきて豊かな味わいに。肩が凝らない酒。敷居の低い酒。旨いなあ。鳥皮ポン酢と合わせたら、カラメル的熟成香は一時的にいなくなる。燗上がりしそうなお酒だ。

 ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合63%、アルコール分15度、製造年月22.05」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念。しかし、蔵のホームページでは「原料米 八反錦・ヒノヒカリ」と開示している。このほかホームページでは「酸度1.4、アミノ酸度1.6、味わい 中口、飲み方 ひや(常温)~ぬる燗」と開示している。

 使用米の「八反錦」は広島県立農業試験場が1973年、母「八反35号」と父「アキツホ」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。1983年に命名、1984年に種苗法登録された酒造好適米。今や、「八反錦」といえば広島、広島といえば「八反錦」というほど、全国的に著名な酒米となっている。

 使用米の「ヒノヒカリ」は宮崎県総合農業試験場作物部育種科が1979年、母「黄金晴」と父「コシヒカリ」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。1989年に命名、1990年に種苗法登録された主食用米。人気品種のひとつで、デビュー以来、品種別作付面積では常に上位につけている。

 代表銘柄「西の関」の由来について、蔵のホームページでは「明治20年代に二代目米三郎が、西は西日本、関は横綱の意味で『西日本の代表酒』になりたいとの大きな望みと努力を心に誓って命名したものです」と説明している。 しかし、大相撲で、現在のように横綱が「力士の最高位」として明文化されたのは明治42年2月のこと。それまでは大関が最高位だった。したがって、「西の関」の関は、「最高位の大関」の意味である。