【4920】豊盃 純米吟醸 月秋(ほうはい)【青森県】

2022年10月01日
酒蛙酒蛙
青森県弘前市 三浦酒造
青森県弘前市 三浦酒造

【S蕎麦屋にて 全2回の➁完】

 S蕎麦屋は、かけそばが絶品なうえ、蕎麦屋にしては置いている酒の種類が多い。蕎麦好き&酒好きのわたくしとしては、こたえられないシチュエーション。必然的に時々足を運ぶことになる。

 今回、最初に選んだのは「安芸虎 山田錦 80%精米 純米」。続いていただいたのは「豊盃 純米吟醸 月秋」だった。「豊盃」は飲む機会が多い酒で、当連載でこれまで、31種類を取り上げている。香りが華やかで、軽快感のある酒、というイメージを持っている。今回のお酒は、ひやおろし。さて、いただいてみる。

 まずは冷酒で。上立ち香は、吟醸香がほのか。いつもの「豊盃」とは違い、香りを抑えている印象。落ち着き感がある。ものすごく、やわらかくやさしく、それでいてさらりとした口当たり。酸が出て、甘旨みが適度にあり、辛みも出ている。ドライではない辛みがうれしい。余韻は辛み。キレが良い。ボディー感は中程度。飲み飽きしないタイプ。すなわち食中酒に最適なお酒。

 次に燗酒をいただく。最初、酒の温度は58℃かなとおもったが、細かすぎると思い直し「温度60℃前後か?」と言ったら、厨房内から「56℃です」。
 さっぱり、すっきりとした口当たり。冷酒のとき、香りが抑えられている、と感じたが、燗酒にしたら含み香の吟醸香が膨らんできた。味わいは、酸が良く出ており、適度な辛み。温度が下がってきたら、辛みを強く感じるようになる。個人的には、このお酒は冷酒も燗酒も良いが、より冷酒の方がわたくしの口に合う、と感じた。

 蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。「【9月限定発売】味わい深い豊盃米の旨味が秋になり最大限に引き出されます。秋の食材との相性がとても良いお酒です」

 ラベルのスペック表示は「アルコール分16度、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合55%、製造年月2022.8」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念。しかし、蔵のホームページでは上記のように使用米を「豊盃米」と開示している。

「豊盃」(正式名には『米』が入らない)は、青森県農業試験場が1967年、母「古城錦」(その母は五百万石)と父「レイメイ」(主食用米)を交配、1976年に命名された。現在は、契約栽培で、この三浦酒造しか使用していない。1976年当時の青森県知事竹内俊吉氏の地元(旧・木造町、現・つがる市)の津軽民謡の「ホーハイ節」から、当て字で「豊盃」と命名された。

 酒名の「豊盃」は、酒造好適米品種「豊盃」にちなむ。ラベルの字も竹内さんの筆による、とされている。