【4915】醸す森 kamosu mori 純米吟醸 生酒(かもす もり)【新潟県】

2022年09月26日
酒蛙酒蛙
新潟県中魚沼郡津南町 苗場酒造
新潟県中魚沼郡津南町 苗場酒造

【食事処Iにて 全2回の①】

 近所の食事処Iはここ数年、常連を集め月に1回、仲良し会を開いている。そして、いつのころからか、各メンバーが酒を持ち寄り、みんなで味を楽しむようになった。

 今回、まずいただいたのは「醸す森 kamosu mori 純米吟醸 生酒」。苗場酒造のお酒は当連載でこれまで「苗場山 純米」を1種類取り上げている。蔵の主銘柄は「苗場山」だが今回、新たな銘柄を世に問うことになった。それがこの「醸す森」だ。そのコンセプトについて、蔵のホームページは以下のように説明している。

「1907年創業の苗場酒造株式会社。日本有数の豪雪地帯、新潟県中魚沼郡津南町で、古くから高品質で愛される日本酒を醸す地酒蔵です。地域の方々に寄り添ってきた歴史を大切にしながらも、様々な人の思いが重なり、この度、新しい銘柄のお酒造りを始めることとなりました。
『さわやかな吟醸香があり、お米の甘みと旨味が凝縮され、飲み飽きしない日本酒を目指したい』。洗米・糀・仕込・上槽のほとんどを手作業とし、とにかく繊細に、優しく、手間とコストをかけてつくった、こだわりの逸品。小さな地酒蔵が、大きな夢と情熱をかけて挑む、『新しくて、フルーティーな日本酒』。それが『醸す森』なのです」
「『醸す森』とは、『酒の宿 玉城屋』が経営する、十日町市松之山にあるバル&ホステルの名前。森の深い緑に囲まれたこの宿のコンセプトは、“あなたを醸す”。『お米と麹や酵母が出会ってお酒が生まれるように、ひとやお酒や風土と出会ってあなたの中になにかが生まれる場所でありたい』。そんな思いからこの名前をつけたそうです。
『「醸す森」という日本酒とお客様の出会いで、日本酒に新しい思いやイメージを持ってほしい』。蔵元の目指すところが元々同じこともあり、宿の名前がそのままお酒の名前となりました」

 この酒を会に提供したメンバーによると、酒屋さんの店主は「これ、いま話題のお酒です! みなさん、『え~~~~っ? これが日本酒?』と驚かれるお酒です」とずいぶんプッシュしていたとのこと。

 さて、いただいてみる。うすにごりだ。上立ち香は、サイダー的果実的。パイナップルにシトラス的バナナ的洋ナシ的セメダイン(酢酸エチル)的な香りが混じったような果実香だ。口当たりはふくよか。甘旨酸っぱい味わいで、味がふくらむ。中でも酸が非常に強く、非常にさわやか。そして非常にジューシー。フレッシュ感もある。余韻は軽い苦み。実に飲み飽きしないタイプ。いくらでも飲めそうだが、甘みもかなり出ているので食前酒向きか。

 超甘旨酸っぱくて超ジューシーな味わいのお酒は近年、急激に増えつつある。今回のお酒もそのカテゴリーに属し、比較してテイスティングしたのではないが、「来福 M Special Edition 【Pure】直汲み」(当連載【4868】)を飲んだときの印象と同じようなものを感じた。

 甘旨酸っぱい味わいのお酒はえてして濃醇になる傾向があるが、今回のお酒は、くどくはならず、軽快感がある。モダンタイプで、ボディーはミディアム~ライトの中間あたりに感じた。また、アルコール分が14度と低めなので、ストレスを感じることなく、実に飲みやすい。メンバーは以下のような会話を交わしながら、このお酒をじっくり味わっていた。

 J子「やさしい女性をおもわせるお酒だ」
 T男「女性が好きそうなお酒だ」
 J子「ホント、女の子とが好きそうなお酒だわ」
 T男「酒とジュースの中間のような感じ」
 J子「ホント、そう。でも、飲みやすいので、飲み過ぎるとつぶれる心配のあるお酒」

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

「ぴちぴちと弾けるガス感が生酒らしい、フレッシュでジューシーなテイストです。洋梨やライチを思わせる甘い香りと、酸がキュッと後味を引きしめています。食前酒にぴったりなお酒ですが、食事と一緒に楽しむならピザやパテドカンパーニュとのペアリングがおすすめです。冷蔵庫でよく冷やしてからお召し上がりください」

 ラベルのスペック表示は「原材料名 米(新潟県産)米こうじ(新潟県産米)、精米歩合60%、アルコール分14度、製造年月2022年7月」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念。しかし、蔵のホームページは「麹米 新潟産五百万石、掛米 新潟産こしいぶき、酵母 M310酵母」と開示している。

 使用米の「こしいぶき」は新潟県農業総合研究所作物研究センターが1988年、母「ひとめぼれ」(その母は「コシヒカリ」)と父「どまんなか」を交配。選抜と育成を繰り返し品種を固定、2000年に命名、2003年に種苗法登録された飯米用品種。

 銘柄名および蔵名「苗場山」「苗場」の由来について、日本の名酒事典は「苗場山を源とする中津川の伏流水を用いて仕込むことからついた酒名」と説明している。