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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4870】七本鎗 純米 吟吹雪 参年熟成(しちほんやり)【滋賀県】

2022.8.14 21:53
滋賀県長浜市 冨田酒造
滋賀県長浜市 冨田酒造

【B居酒屋にて 全8回の⑧完】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合。しかし店は、長引くコロナで大苦戦を長く強いられている。早く、以前のにぎわいを取り戻してもらいたい、と願ってやまない。

「大号令」「飛良泉」「ヤマサン正宗」「櫛羅」「鍋島」「来福」「花陽浴」と飲み進め、最後8番目にいただいたのは「七本鎗 純米 吟吹雪 参年熟成」だった。

。冨田酒造のお酒は当連載でこれまで、12種類を取り上げている。「七本鎗」というカッコいい名のお酒には、しっかりした味わいの酒、という印象を持っている。さて、今回のお酒はどうか。ラベルの製造年月は2021年3月。これは多分、蔵出し年月とおもわれる。そしてラベルには「三年熟成」と書かれている。瓶詰めしたお酒を冷蔵庫でで3年間熟成させ、2021年3月に蔵出ししたということは、わたくしは醸してから4年たったお酒を飲んだことになる。

 熟成酒なので、燗映えするだろう、と考え、仲居さんに燗酒をつけてもらう。推定温度は50℃くらいの熱燗だった。このこ燗酒がべらぼうに美味しかったのだ。

 酒蛙「わっ、旨いっ! 旨みと酸が口の中でふくらむ! これは旨いっ!」
 仲居さん「旨いね~~♪ これ、旨い!!!」
 酒蛙「旨みと酸と辛みが良く出ている。紹興酒的な香味がいいね。この熟成感がいいね。軽快感もあり、いくらでも飲めそうだ。やわらか、ふくよかで深い味わいのお酒でありながら、さっぱりとした口当たりなのもいい。燗冷ましも良い。長い時間、燗酒をゆるゆると飲む、そんなシチュエーションがこの酒にぴったりだ」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「酒米・吟吹雪を使って醸した純米酒を三年間じっくりと寝かせませした。『吟吹雪』とは、酒米・山田錦と玉栄の掛け合わせによって生まれた滋賀県の酒米です。熟成により深みと旨み、滑らかさが加わり、ゆっくりと体にしみ込んでいくような米の旨味の心地よさを感じるお酒です。熟成により搾った直後とは全く違う表情をみせる日本酒。これからも日本酒の熟成の可能性を追求していきたいと思います。
 照り焼きやみそ漬けなど味のしっかりした料理と合わせていただくと、熟成酒の本領を発揮することと思います。食中酒として、冷やから熱燗までお好みの温度でお楽しみ下さい」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、酒米 滋賀県産吟吹雪100%使用、精米歩合60%、アルコール分15%、製造年月2021年3月」。使用米の「吟吹雪」は、滋賀県農業試験場が1984年、母「山田錦」と父「玉栄」を交配、育成と選抜を繰り返し開発。1999年に品種登録された酒造好適米だ。

 酒名「七本鎗」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。「『本能寺の変』の翌年 天正11(1583)年、信長の跡目をめぐって羽柴(豊臣)秀吉と柴田勝家が戦った『賎ケ岳の戦い』で勇猛果敢な働きによって秀吉に天下人へ道を開くきっかけを開いた七人の若武者、加藤清正・福島正則・片桐且元・加藤嘉明・脇坂安治・平野長泰・糟谷武則を称えて『賎ケ岳の七本槍』と呼ぶ」

 また「七人の若武者」については、「七本鎗」を飲むたび思い出そうとするが、いつも加藤清正、福島正則、片桐且元で終わってしまい、どうしても覚えられない。いつも3人までで頓挫する。今回も、最初の3人で、記憶が途絶えた。嗚呼。

 かの北大路魯山人は、この蔵に逗留したことがあり、「七本鎗」を愛した、と伝えられている。ラベルの字は、魯山人によるものだ。

酒蛙

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