×
メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4868】来福 M Special Edition 【Pure】直汲み(らいふく)【茨城県】

2022.8.12 22:15
茨城県筑西市 来福酒造
茨城県筑西市 来福酒造

【B居酒屋にて 全8回の⑥】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合。しかし店は、長引くコロナで大苦戦を長く強いられている。早く、以前のにぎわいを取り戻してもらいたい、と願ってやまない。

「大号令」「飛良泉」「ヤマサン正宗」「櫛羅」「鍋島」と飲み進め、6番目にいただいたのは「来福 M Special Edition 【Pure】直汲み」だった。来福酒造のお酒は当連載でこれまで、11種類を取り上げている。酸をあまり感じない、まったりとした口当たりのお酒、という印象を持っている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 おおおっ!!! おもわず声に出た。酸が非常に良いのだ。これまでの、酸を感じない「来福」のイメージとは真逆のお酒だったのだ。含み香はバナナとセメダイン(酢酸エチル)が一緒になったような芳香。やわらかでやさしい口当たり。甘旨酸っぱい味わい。ジューシー。やや軽快感があり、さっぱりとした口当たり。メリハリがあり、旨い。飲み飽きしない。いくらでも飲める(そんなわけないが、そう書きたくなるほど、次の盃が欲しくなる酒だ)。

 ひとことで言うならば、酒質はモダンタイプのミディアム~ライトボディ。これまで、クラシックタイプの印象が強かった「来福」だが、いつからはモダンタイプになったのか。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「農大同級生たちによる縁で結ばれたお酒です。来福酒造に実習でお世話になった米農家が作ったお米を使い、日本酒バー店主がSAKEプロデューサーとして企画発案。ふたりの同級生でもある来福の蔵人が責任者として仕込みました。皆様とも良いご縁となりますように」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、アルコール分15度、精米歩合55%、製造年月2022.5」にとどまり、特定名称酒の区分や使用米の品種名が非開示なのは残念だ。食品表示が細かく開示されている時代の流れにあって、消費者(飲み手)のために、これらの開示をお願いしたい。あるいは、非開示にするのなら、その理由をラベルに書いていただきたい。

 また、酒名の「M」の意味は何なんだろう? 意味が分からないので楽しくない。また、なぜ「Pure」なんだろう。釈然としない。これらも、裏ラベルで説明すべきだとおもう。なんだか、“楽屋落ち”の雰囲気が強く漂っており、飲み手は疎外感を覚える。

 酒名および蔵名の「来福」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。「来福酒造は、1716年(享保元年)、近江商人が筑波山麓の良水の地に創業いたしました。創業当時からの銘柄『来福』は俳句の『福や来む 笑う上戸の 門の松』に由来するものです」

「福が来る」にあやかり、「来福」を店のラインナップの定番にしているところを時々目にする。わたくし行きつけのY居酒屋もずっと「来福」を置き、繁盛を願っていた。

酒蛙

関連記事 一覧へ