【4861】夢心 純米吟醸(ゆめごころ)【福島県】

2022年08月03日
酒蛙酒蛙
福島県喜多方市 夢心酒造
福島県喜多方市 夢心酒造

【食事処Iにて 全2回の①】

 近所の食事処Iはここ数年、常連を集め月に1回、仲良し会を開いている。そして、いつのころからか、何人かのメンバーが酒を持ち寄り、みんなで味を楽しむようになった。

 今回、まずいただいたのは「夢心 純米吟醸」。銘柄名「奈良萬」で全国に知られる夢心酒造のお酒。当連載ではこれまで、夢心酒造のお酒を12種類取り上げており、いずれも「奈良萬」だ。

 瓶の肩に貼られているラベル「東北復興宇宙酒」の文字に驚かされる。いったい何だ? 裏ラベルなどには一切、その説明が無い。地元福島民友新聞のウェブサイトが2022年5月14日付で宇宙酒の記事を掲載しているので、以下に転載する。
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 宇宙から帰還した福島県オリジナル酵母「うつくしま夢酵母」を使った日本酒の販売報告会が13日、福島市で開かれた。県内27蔵元が醸造し、既に売り出している銘柄もあり「東北復興宇宙酒」のブランドを生かして県産酒の新たな魅力を発信する。
 一般財団法人ワンアース(茨城県)と県酒造組合が計画した。夢酵母は昨年6月4日に国際宇宙ステーションに打ち上げられ、同7月10日に帰還。県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター(会津若松市)で培養され、各蔵元の酒造りに使われた。(中略)
 県酒造組合特別顧問の鈴木賢二さんは宇宙酒の特徴を紹介。もともと夢酵母で醸造された酒はバナナやメロンの香りがあるといい、宇宙空間に滞在したことで「パイナップルの香りが加わり、よりフルーティーになった。多くの人に飲んでもらい、宇宙に行った感覚を味わってほしい」とPRした。宇宙酒は県内の小売店などで販売されている。
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 さて、いただいてみる。上立ち香は、サイダー・ラムネをおもわせる。含み香はバナナとセメダイン(酢酸エチル)が一緒になったようなニュアンス。さらりとした口当たりで、さわやか、軽やか、淡麗。軽い酒質ながら、甘旨酸っぱく、深い味わい。中盤から余韻は辛みと苦み。キレが非常に良い。モダンタイプのライトボディーか。実に旨い。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合55%、アルコール分16度、製造年月22.02」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念。せっかく、訳あり商品をつくったのだから、使用米の品種名を明らかにしてもらいたいものだ。

 蔵名および主銘柄名「夢心」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「東海林萬之助(七代目当主)は、毎日朝早くから夜遅くまで風味、こく、ともに良い酒を何とかして造ろうと、酒造りの研究に没頭し、寝食を忘れて働いていた。そんなある夜、萬之助の夢枕に「我は『朝日稲荷』なり、汝の心掛け殊勝なり、酒造りの秘伝を伝授すべし。」と酒造りの方法を教えられた。早速その通り試造してみると香り、こくともに稀なる芳醇な銘醸を得ることができた。萬之助は近郷近在つどい寄って皆と、この美酒に酔い喜んだ。その名声は、会津一円はもとより県内外にまでもてはやされるに至った。これは神のおかげと思い『朝日稲荷』がどこにあるか、八方手をつくして聞いたところ、岩瀬郡須賀川のほとりにあるのが分かった。感謝と報告をかねて酒樽を背負い徒歩で喜多方より須賀川の朝日稲荷に辿り着く。酒樽を奉納し感謝の真心を捧げる。 しかし、旅の疲れのため社頭でうとうとと眠ってしまった萬之助の夢枕に、神が現れこう言った。「よくぞ詣りしよ。汝の造る酒に『夢心』と名づくべし」。時はあたかも弥生(3月)の頃、東の空に朝日が輝き、中庭の「中丸桜」の花は満開と咲き誇り、花の色の鮮やかさにしばし陶酔の境地にひたる。吹くそよ風が桜の花びらを中空に舞いひろがらせ、そしてそれは一瞬にして落下し、あれよあれよというまに全身が花びらにつつまれた。何とも形容しがたき満足感、神の御加護のありがたさと、うれしさに感動が全身にみなぎり、瑞喜の涙が頬をつたう。かくして夢よりさめ商標を『夢心』と定め桜の花をあしらうようにした。想うに朝日は東海より昇るもの、朝日稲荷と東海林家とは因縁浅からず。夢枕にたった神のお告げにより、美酒が生まれた。今でも朝日稲荷神社の春秋の祭典には昔を今に忍び、御神酒をお供えするのがならわしとなり今日に至る。古き伝統による近代的な設備から醸しだされる清酒『夢心』の栄は、朝日の昇るが如し、瑞祥と言うべき」

 また全国的に知られる酒名「奈良萬」は、創業当時の屋号が「奈良屋」であり、この蔵の中興の祖・7代目東海林萬之助の名と組み合わせたもの。