【4834】開運 無濾過純米 赤磐雄町 生酒(かいうん)【静岡県】

【TU会例会 全6回の④】
コロナのため開催を見合わせてきた異業種間交流利き酒会のTU会だが、新規感染者が小康状態を保ってきたので、感染対策を万全にして5カ月ぶりに再開した。この日を待ちわびていたメンバーは全員にこにこ顔。そして、会場のB居酒屋のスタッフたちもにこにこ顔だ。
お酒は全部、店任せにした。「白鶴」「神亀」「琵琶のさゝ浪」と飲み進め、4番目にいただいたのは「開運 無濾過純米 赤磐雄町 生酒」だった。
土井酒造場のお酒は当連載ではこれまで、13種類を取り上げている。そのほとんどが「開運」。派手さは無いが、しっかりした味わいで、実に落ち着き感があるお酒、という強いイメージがあり、好感を抱いている。今回のお酒は、当連載【3853】で取り上げたものと同じだが、あれから3年がたっているので、再び取り上げることにした。さて、いただいてみる。
酒蛙「旨いっ! 『琵琶のさゝ浪』と似たタイプだが、『琵琶のさゝ浪』はライトボディ。今回の『開運』は濃醇フルボディー。そんな感じだ」
TU、SA「甘い。美味しい」
酒蛙「非常に濃醇。ふくよかで、がっしり、どっしりしている。菌類的木香的含み香。バナナ香もほのかに感じる。味わいでは甘み、旨み、酸、辛みという味の要素がみんなよく出ている。その中でも酸と辛みがとくに出ている」
TU「酸が出ています!」
酒蛙「極めて飲みごたえがある。パンチ力がある。これは旨い。すこし微発泡を感じる」
瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分17度、原材料名 米 米こうじ、赤磐雄町100%使用、精米歩合55%、全量国産米使用、製造年月2021.12」。
使用米の「雄町」は、優秀な酒造好適米として広く知られているが、品種が固定されたのは江戸時代末。実に約150年にわたって酒米とし利用され、しかも今なお第一線で活躍している、ウルトラ長寿品種。全体の90%が岡山県で生産され、とくに赤磐市産の評価が高く、有名だ。
酒名「開運」の由来について「日本の名酒事典」は「明治5年創業。酒名は、地元小貫村の発展を願ってつけられた」と説明している。この蔵の祝酒は、ラベルに七福神の絵が描かれ、そこに「開運」とドドーンと酒名。おめでたさ満点のため、おせち料理と一緒に売られるなど、祝の席用に重宝されている。
本当に良い酒名だとおもう。飲んでいると、ご利益がありそうな気持になってしまう。