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文化

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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4826】土田 イニシャル「F」(つちだ)【群馬県】

2022.6.28 16:25
群馬県利根郡川場村 土田酒造
群馬県利根郡川場村 土田酒造

【B居酒屋にて 全5回の➁】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。コロナで大苦戦を強いられ、さらにオミクロンによる第6波が襲来、この6波の影響が長く続いている。早く、以前のにぎわいを取り戻してもらいたいものだ。わたくし一人が頑張ったところでしょせん、売り上げに貢献できないのがもどかしい。それでも、前回7種類飲んだ4日後、再びB居酒屋を訪れ5種類のお酒を飲んだ。

 今回、トップバッター「安東水軍 純米吟醸 しぼりたて 生原酒」に続いて選んだのは「土田 イニシャル F」だった。当連載で土田酒造のお酒をこれまで、7種類取り上げている。

 土田酒造は、近年、さまざまな新しいことにチャレンジし、全国の酒造関係者から動向が注目されている気鋭の酒蔵だ。とくに生酛仕込みを得意としており、全量生酛蔵へ移行させた。今回のお酒はどうか。期待をもっていただいてみる。

 おおおおっ、酸っぱい! おもわず声に出た。酸が極めて良く出ている。圧倒的な酸の出方だ。骨太な酸というよりは、爽やかな酸だ。酸味酒大好き人間のわたくしは、狂喜乱舞欣喜雀躍だ。この酸の出方は、白麹を使っているのでは、とおもわせるものがあったが、ラベルを見たら、そんなことはなく、蔵に生息している菌類の働きの結果とのこと。。

 アンズとマスカットを合わせたような含み香。さっぱりとした甘旨酸っぱい味わい。アルコール分が低いなあ、飲みやすいなあ、とおもってラベルを見たら、なんと11度。通常のワインより、アルコールが低め。飲みやすいわけだ。クセになる味わいで、まったく飲み飽きしない。和洋中、どの食事にも合う食中酒だ。

 それにしても、酸が良い。超ジューシー。モダンタイプに分類される酒質なのだろうが、モダンタイプを振り切るほどの超ジューシーさ。新たなカテゴリー概念かもしれない。ずばり、白ワイン感覚で飲める。モーゼルワインをおもわせる。それを意識して造ったのではなく、偶然の産物ということなので、菌たちの働きに「あっぱれ!」をあげよう。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「『際立つジューシーな酸味。日本酒の概念を覆す』。F=Fantastic【幻想的】酵母菌・麹菌・乳酸菌etc・・・酒蔵に住む様々な菌たちの力で、日本酒を造る。力強く、ときにか弱く。助け合い、戦い、成長する。酒蔵の中は、目に見えない菌たちの幻想的な空間」

 また、蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

「人と菌が造る幻想的な世界。ジューシーな酸味のお酒。酒蔵に住む菌たちの活動が起点となった、無添加だからこそ生まれたファンタスティックな日本酒です。
 このお酒は、現在は使用を控えている当蔵の大型タンクで偶然に生まれたお酒です。当蔵では目に見えない菌の動きを、その様子、香り、手触り、温度に加えて様々な分析機器から計測された数値をもとに判断しているのですが、我々の隙を見て乳酸菌が増え乳酸発酵を開始。偶然や条件が重なり、本来いるはずのない菌が一気に主張を強めたことでこのような味が生まれ、当蔵の杜氏や蔵人でまとめあげました。
 発売からじわじわと口コミで広がり、雑誌『料理王国』にも掲載いただきました。当蔵の姿勢を体現しているような1本です。日本酒をあまり飲まない方や若い方にもとても人気があります」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合70%、アルコール分11度(原酒)、平成30酒造年度醸造」。ずいぶんこだわった造りをしているようなのだが、使用米の品種名が非開示なのは残念だし、特定名称の区分表示が無いのは残念だ。ナニガシカの理由があって表示していないものとおもわれるが、表示をしない理由を裏ラベルに載せていただければ、消費者として助かる。表示スペックから類推すると、純米酒とおもわれる。なぜラベルに「純米酒」と書かないのだろう?

酒蛙

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