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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4796】まんさくの花 愛山酒 純米大吟醸 生原酒【秋田県】

2022.5.26 14:24
秋田県横手市 日の丸醸造
秋田県横手市 日の丸醸造

【Z料理店にて 全7回の③】

 近所のZ料理店に顔を出す。予約すると、わたくしが飲んだことがないだろうお酒を数種類さりげなく用意してくれる。その心意気がうれしく、月に1回のペースで暖簾をくぐっている。コロナで大苦戦を強いられているが、以前のようなにぎわいを早く取り戻してほしい、と切に願う。

「満寿泉 純米 生」「九重桜 純米吟醸 無ろ過 五百万石 生原酒」と飲み進め、3番目にいただいたのは「まんさくの花 愛山酒 純米大吟醸 生原酒」だった。

 日の丸醸造のお酒は飲む機会が非常に多い酒。当連載でこれまで、34種類を取り上げている。おそらく当連載では、全国の酒銘柄トップクラスの多さだ。それだけ、「まんさくの花」を好む酒屋または居酒屋店主が多い、ということなのだろう。あるいは蔵の営業力か。「まんさくの花」には、しっかりした味わいの酒、という好印象を持っている。さて、今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 甘い。かなり甘い。芳醇な甘旨みが口の中に広がる。これが第一印象だった。含み香はメロン香が華やか。飲み進めていくと、最初は感じられなかった酸をすこし感じるようになる。が、味の主体はやっぱり甘旨み。そして、余韻の苦みがやや強く、そして長い。甘旨みたっぷりの分厚い酒質。今風に言えばフルボディー。そして華やかさと上品感があるので、食中酒というよりは、食前酒のようにおもえる。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「『愛山』は酒米の始祖『雄町』の多重交配種で、吸水性に優れた雄町を上回る抜群の吸水性を持つ酒米です。春の『愛山酒』は搾りたての生原酒でお届けします。愛山の特徴である“濃密な米の旨み”をぜひお愉しみください。
※愛山酒は春の生原酒と秋の一度火入れ原酒の年2回発売します」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)純アルコール量92.16g(720mlあたり)、原料米 兵庫県産 愛山100%、精米歩合45%、アルコール分16度、日本酒度-1.5、酸度1.5、アミノ酸度0.8、仕込水 奥羽山脈栗駒山系伏流井戸水、製造年月2022.2」。

 使用米の「愛山」は、兵庫県立明石農業改良実験所が1941年、母「愛船117」と父「山雄67」を交配。太平洋戦争を経て1949年に品種を固定した。母方の父は雄町系、父方は雄町と山田錦の子という、全身に山田錦と雄町の“血”がたっぷり入っている、酒米界のサラブレッド的出自を誇る。玄米が大粒で、山田錦と同等かそれ以上の、米粒の重さと、米糠割合の少なさのため、酒造効率が良く、酒造に非常に適している、という評価が高かった幻の品種。現在は、兵庫県のごく一部の生産者だけが栽培している。希少品種ゆえ近年、人気が高まりつつあり、「愛山」を使う蔵が急上昇中だ。

 酒名「まんさくの花」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「昭和56年にNHKの朝の連続ドラマ『まんさくの花』が横手市を舞台に放映されたのを機会に誕生した、当社の代表銘柄です。当時主力商品だった『日の丸』のやや重みのある酒質とは違う、『きれいで優しい酒質』への挑戦を志して誕生した当ブランドは、現在でもなお珍しい、ひらがなの墨文字をラベルに採用しました。炭文字自体が珍しかった時代としては、非常に挑戦的なラベルでした。(ご揮毫は今関枝竹先生にお願いしました。(令和)天皇陛下の書道ご進講役を没年まで務められた今関脩竹先生の奥様です)

 また、蔵名および昔からの酒名「日の丸」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「創業元禄二年(1689年)。当社の社名でもある『日の丸』は、秋田藩主・佐竹公の紋所『五本骨の扇に丸印(日の丸・月丸)』に因んで命名されたと伝えられており、明治40年登録商標済の日本で唯一無二の酒名です」

酒蛙

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