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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4791】まんさくの花 FAMILY HISTORY 純米大吟醸【秋田県】

2022.5.20 16:53
秋田県横手市 日の丸醸造
秋田県横手市 日の丸醸造

【B居酒屋にて 全7回の⑤】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。コロナで大苦戦を強いられていたが、第5波が下火になってから、ようやくお客さんが戻って来た。しかし、程なくオミクロンによる第6波が襲来し、またまた大苦戦。この6波の影響が長く続いている。早く、以前のにぎわいを取り戻してもらいたいものだ。わたくし一人が頑張ったところでしょせん、売り上げに貢献できないのがもどかしい。

「風の森 ALPHA pink」「風の森 ALPHA GREEN」「結」「白老」と飲み進め、5番目にいただいたのは「まんさくの花 FAMILY HISTORY 純米大吟醸」だった。

 日の丸醸造のお酒は飲む機会が非常に多い酒。当連載でこれまで、33種類を取り上げている。おそらく、当連載で取り上げる全国の酒銘柄トップクラスの多さだ。それだけ、「まんさくの花」を好む酒屋または居酒屋店主が多い、ということなのだろう。あるいは蔵の営業力か。

 今回の酒は、瓶のラベルがユニーク。おもわず読んでしまう。そこには、以下のメッセージが掲載されていた。

「酒米の王様と称される『山田錦』(1936年命名)は『山田穂』と『短稈渡船』という品種の人工交配によって1923年に誕生しました。山田錦は晩生品種のため、雪国秋田県では育ちません。このため、秋田県酒造組合では山田錦の発祥地である兵庫県多可町の『中町山田錦部会(通称:秋田村)』と山田錦の栽培契約を締結しています。このお酒は同部会会長が育てた酒米(山田錦・山田穂・渡船2号)を分けて頂き、親子米仕立を企図してチャレンジした純米大吟醸です。ところが、初挑戦する酒米を調べていくうちに、山田錦の系譜図で親と書かれている短稈渡船は現存せず、短稈渡船として巷間で言われている渡船2号は似て非なる別物、山田穂の由来も諸説ありと調べる程に山田錦ファミリーの奥深さを知ることになりました。当初のコンセプトは潰えましたが、山田錦系統の近縁3種で醸したお酒は1年間の低温瓶熟成を経て、期待通りの複層的な味を持つ正統派の美酒に仕上がりました。まもなく生誕百年を迎える『山田錦』のルーツに因む貴重な三重奏を、是非お楽しみください」

 さて、今回のお酒をいただいてみる。しっかりとした味わい。旨みと酸がしっかりと出ている旨口酒。まさしく「まんさくの花」のDNAだ。「まんさくの花」はざっくり言うと、旨みと酸に尽きるが、今回のお酒は、ほかの「まんさくの花」と比べると、旨みと酸のバランスがさらに良く、上品なまとまりを見せている。余韻は酸と渋み。香りは派手さを抑え、上品感のあるほのかな香り。口当たりにとろみを感じ、ボリューム感のある酒質。濃醇で、しっかりした味わいながら、やさしさと丸みも感じられる。これは旨い! 

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 兵庫県産山田錦33.4% 兵庫県産山田穂33.3% 兵庫県産渡船2号33.3%、精米歩合50%、アルコール分16度、酵母 秋田流花酵母(AK-1)、日本酒度-1.0、酸度1.7、仕込水 奥羽山脈栗駒山系伏流水井戸水、上槽年月2020年4月、製造年月2021.04」。

 酒名「まんさくの花」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「昭和56年にNHKの朝の連続ドラマ『まんさくの花』が横手市を舞台に放映されたのを機会に誕生した、当社の代表銘柄です。当時主力商品だった『日の丸』のやや重みのある酒質とは違う、『きれいで優しい酒質』への挑戦を志して誕生した当ブランドは、現在でもなお珍しい、ひらがなの墨文字をラベルに採用しました。炭文字自体が珍しかった時代としては、非常に挑戦的なラベルでした。(ご揮毫は今関枝竹先生にお願いしました。(令和)天皇陛下の書道ご進講役を没年まで務められた今関脩竹先生の奥様です)

 また、蔵名および昔からの酒名「日の丸」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「創業元禄二年(1689年)。当社の社名でもある『日の丸』は、秋田藩主・佐竹公の紋所『五本骨の扇に丸印(日の丸・月丸)』に因んで命名されたと伝えられており、明治40年登録商標済の日本で唯一無二の酒名です」

酒蛙

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