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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【4761】興譲 雪女神 純米大吟醸(ゆずるをおこす)【山形県】

2022.4.11 23:22
山形県米沢市 浜田
山形県米沢市 浜田

 休日の夕方、ふらりと近所のうなぎ屋へ。うなぎはもちろん美味しいのだが、酒がいい。定番酒はありきたりの地酒3種類ほどだが、店主の“隠し酒”が面白い。この場合の面白い、は特段意味のある言葉ではない。わたくしの興味をそそる酒が多い、ということだ。どんなルートで入れているのか興味のあるところだが、あえて聞かないことにしている。

 席につくと、店主が酒を抱えてきた。「興譲 雪女神 純米大吟醸」。これが今回の“隠し酒”、すなわち、本日の店主スペシャルだ。「浜田」の酒は当連載でこれまで、主銘柄の「沖正宗」など2種類を取り上げている。さて、今回のお酒をいただいてみる。

 青リンゴをおもわせる上立ち香が感じられる。含むとフルーティー&ジューシー。果実的ニュアンスが感じられる。大げさに言うならば、果物を飲んでいるようなイメージのお酒だ。味わいは、甘旨く、余韻は軽い苦み。酸は適度に出ているが、辛みはあまり感じられない。そしてキレが良い。口当たりは、やわらか、穏やか、とろみが感じられるもののやや軽快。実に飲みやすい。総じて、実に上品なお酒。食中酒としてより食前酒の方がいいかも。

 蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。

「世界に誇れる山形の酒造好適米『雪女神』を 38%まで磨いた純米大吟醸生酒。華やかなカリンのような果実香、ライラック、アカシアの花の香り、セルフィーユ などのハーブ香が調和。柔らかく上品な甘みと酸味が心地よく口中に広がり、キレのある後味が印象的な浜田を代表する日本酒」

 また、蔵のホームページでは「製造部からのひとこと」と題し、以下の紹介文を掲載している。

「磨けば磨くほどきれいな味わいになるが、雪女神の味の幅、ふくよかさなどのバランスを考え、精米歩合は 38%で仕上げました。38%の磨きは高精白となり、水を吸いやすくなるため、浸漬時間は短めの 7 ~ 8 分としています。また、香りが出やすく発酵の力を強めるために製麹時間は長めの 55 時間。発酵も香り、クリアな味わいを出すために 11°Cで 28 日間の低温長期発酵を行っています。日本酒本来の味わいを楽しんで頂けるように生貯蔵で仕上げています」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(山形県産)米麹(山形県産米)、原料米 山形県産米100%使用、精米歩合38%、アルコール分15度、製造年月21.11」。

 使用米の「雪女神」について、蔵のホームページは以下のように紹介している。「『出羽の里』と『蔵の華』の交配品種。千粒重が 27g 以上の大粒、玄米の粗タンパク質の含有率 7%以下、心白の発現率は 70%以上。心白の形状が小さく点状に出現するため、高精米でも米は砕けにくく、優れた大吟醸仕込みの適性を持っている。雪女神で醸した酒は、やや甘みがありスッキリしてキレのある後味に仕上がる」

 山形市の国井酒店のホームページによると、山形県が、山形県初の大吟醸規格用酒造好適米の開発をめざし、「蔵の華」と「出羽の里」を交配、育成と選抜を繰り返し開発した酒造好適米。これで「山田錦」に頼らず、すべて山形県産の原材料で大吟醸を醸すことが可能になった、という。

 また、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構次世代作物開発研究センターによると、「雪女神」を開発したのは山形県農業総合研究センター水田農業試験場で、2001年に母「出羽の里」と父「蔵の華」を交配し育成を開始。選抜と育成を繰り返し品種を固定。2015年に命名、2017年に種苗法登録された、非常に新しい酒造好適米だ。

 酒名「興譲」の由来について、瓶の裏ラベルは、以下のように説明している。

「『譲(ゆずる)を興(おこ)す』
上杉鷹山公の師・細井平洲のことば。相手と心を通じあわせるには、譲ること、つまり思いやりの心がもっとも大切だという教えです。その教えにしたがい、米・米麹・水それぞれの声に耳を傾けながら、『興譲』は生まれました」。よく耳にする山形県米沢興譲館高校の「興譲館」は、細井平洲の命名による、という。

 この蔵の主銘柄は「沖正宗」その由来について、日本の名酒事典は「慶応2年(1866)創業。米沢市窪田町字沖から“沖”をとり、清酒を意味する正宗をつけて酒名とした」と説明している。

酒蛙

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